第151章 トラブルを起こしたい

朝比奈初のほうでは鍋から油がジュージューと音を立てており、母子の会話など全く耳に入っていなかった。

彼に意思があるかどうかは別として、番組に家族を同伴することについて、彼には発言権がなかった。

仮に家族同伴という条件が通ったとしても、長谷川一樹は母親の性格を考えると、このような娯楽番組には向いていないと思った。

しばらくして、一樹は優しく母の手を自分の体から離し、容赦なく本音を言った。「お母さん、疲れてるんじゃなくて、暇なだけでしょ」

長谷川の母:「でも本当に疲れてるのよ。私、理解できないし、彼らとコミュニケーションが取れないわ」

この感覚は学生時代に戻ったようだった。授業で先生の説明が理解できず、数回ついていけなくなると、その科目への興味を失ってしまうが、それでも自分を無理やり受け入れざるを得ない状況に似ていた。

母も会社のプロジェクトに参加したいと思っていたが、彼女の年齢がネックとなり、手先も器用ではなく、若い社員たちとの会話にも入れなかった。

母の不安に対して、一樹は真面目な顔で言った。「因果応報だよ。兄さんを騙して呼び戻す方法を考えたらどう?」

もし一樹に家業を継ぐ気が少しでもあれば、彼はエンターテイメント業界に足を踏み入れることはなかっただろう。

母は考え深げに頷いた。「それもそうね」

……

翌朝、太陽が窓から静かに寝室に差し込み、朝比奈初は大きなベッドに横たわったまま、まぶしい光を感じて不安げに体を動かし、眠そうな目を開けた。

自然に目覚めるつもりだったが、思いがけず日光に負けてしまった。

初は伸びをして、そのまま布団をめくり、ゆっくりと窓の方を見た。もう8時か9時くらいだろうと感じた。

ちょうど偶然に枕元のスマホの画面が光ったのを見て、彼女はベッドから起き上がってスマホを確認した。

昨日、番組スタッフの要請でWeiboアカウントを登録したところ、今日はほとんどがWeiboからの通知だった。開いてみると、画面中が赤い点で埋め尽くされていた。

初は自分のプロフィールページを開いてみると、今日のフォロワーはすでに100万人を超え、昨日投稿したvlogの転送数は30万を超えており、今日のWeiboのホットサーチにも彼女の話題がランクインしていた。