第28章 無駄な努力はやめて、私についてくればいい

他の二組はすでに町へ贈り物を選びに出発していたが、朝比奈初と長谷川一樹だけが帰路についていた。

帰宅後、一樹は怒って自分の部屋に閉じこもり、初との会話を拒否した。

初は他人事のような態度で、座って水を一口飲んだ後、ふと先日田園を散策した時に近くに数本の金木犀の木があり、遠くからでも金木犀の香りがしていたことを思い出した……

そう思うと、初は立ち上がって台所へ行き、盆とはさみを持って外出した。

初は金木犀の木の前に来ると、密集した花を見て、はさみを取り出して枝を切り始めた。

【おっと、朝比奈は何をするつもりだ?】

【こんな時に、まだ花を摘む余裕があるなんて】

【これはさすがに投げやりすぎだろ。彼女のファンになって間もないけど、もう応援をやめたくなってきた】

【応援やめたい+1】

配信を見ている視聴者たちは文句を言いながら見続け、しばらくすると初は金木犀でいっぱいの盆を持って戻ってきた。

初は持ち帰った金木犀をさらに小枝に分け、脇に置いて自然乾燥させた。

ちょうどその時、一樹が部屋から出てきて、庭に突然二枚の板に金木犀が干されているのを見て、眉をひそめた。

彼は少し好奇心を抱き、声をかけようとしたが、考えと行動は一致しないようだった。

結局、一樹は彼女を無視して外出しようとしたが、庭から一歩も出ないうちに初に呼び止められた。

初は彼に尋ねた。「どこに行くの?」

「贈り物の準備をしに行く」

一樹は先ほど部屋で長い間考えていた。資金を交換できなかったとはいえ、このままでは済まされないだろう。

明日、他のグループは全員贈り物を持っているのに、自分たちのグループだけが何も持っていないとしたら、どれほど気まずいことになるか。

初は軽く「ああ」と言った。「じゃあ、何か方法を思いついたの?」

「別に」一樹は冷たい声で彼女に返した。

「だったら無駄な努力はやめて、私についてくればいいわ」

一樹は軽く鼻を鳴らし、彼女を軽蔑するように見た。

これは彼に一緒に投げやりになって、明日村人全員の前で恥をかけろというのか?

今回は彼女の言うことを聞くつもりはなかった。

初は彼が黙っているのを見て、落ち着いた様子で言った。「あなたにアイデアがないなら、私はちょうど準備しているところだから、余計なことをする必要はないわ」