第311章

このショットは、朝比奈初に彼女と相手との間の差を完全に感じさせた。

幸い彼女は反応が早く、何とか対応することができた。

江川航たちは羽根の落下速度に追いつけず、初側に1ポイントを与えてしまった。

黒崎雄介と江川がこのショットを受け損ねた後、二人は顔を見合わせ、少し恥ずかしそうな表情を浮かべた。

そのショットを受けるために、初は腕が脱臼しそうな感覚があった。シャトルを受けるのがこんなに大変だとは思わなかった。

長谷川彰啓は彼女を見下ろし、低く温かい声で言った。「ポジションを交代しよう」

「いいよ」初は頷き、彼と位置を交換した。

どうせ彼女は雄介ほど力がないのだから、航の対角線上のポジションに立った方が、少なくともプレーが楽になるだろう。

雄介がシャトルを拾って再びサーブすると、彰啓がそれを打ち返した。

最初は全員にとってウォーミングアップに過ぎなかったが、後半になるにつれてラケットを振る速度も上がり、初はコートでいくつかのスマッシュを決めた。

初のプレースタイルに対して、航はやや手を焼いているようだった。彼にとってスマッシュを受けるのはある程度難しく、そのため多くのポイントを失った。

航は軽くため息をつき、無力感を込めて言った。「お嫂さん、本当に少しもチャンスをくれないんですね」

初も負けじと彼に不満を漏らした。「あなたも激しく打ってくるじゃない。前回はこんなに疲れなかったわ」

毎回彼女に向かって打たれるシャトルはとても高く飛び、彼女は何度もジャンプして疲れてしまった。

「……」それは前回、彼女が彰啓と対戦していて、彰啓が手加減していたからだ。

雄介と彰啓の実力は互角だったが、この対戦で両チームはかなりの体力を消耗した。

彼らが突然プレーを止めたのを見て、周防隼人が急に声をかけた。「少し休憩しない?見てるこっちまで目が回りそうだよ。知らない人が見たら、何か深い恨みでもあるのかと思うよ」

再び休憩に入ると、全員がへとへとの様子だった。

初のお団子ヘアは何度もジャンプしたせいでゆるゆるになり、額には薄い汗の層ができ、両側の髪も汗で湿り、赤らんだ頬は頬紅を塗ったようだった。

体育館には他にもバドミントンをしている人がいて、初たちのコートにいるイケメンたちを見て、多くの女性たちがこちらを盗み見していた。