「本当にそう思うの?」
突然朝比奈初にこのことを尋ねられ、しかも彼女があまりにも平然としている様子に、長谷川彰啓は不安を感じた。彼の思考も鼓動も乱れていた。
なぜなのか、彼自身にもわからなかった。
おそらく自分のとった行動が初を不快にさせるのではないかという懸念からだろう。
「もちろんだよ」
相手が写真を撮ってほしいと言ったのは単に連絡先を手に入れたかっただけだと知り、彰啓がはっきりと断った後も、相手の本意を暴くことなく、むしろ相手のために体裁を整えてあげた。
初からすれば、彰啓の対応は非常に適切だったと思えた。
この件について、初は理解を示した。「何て言うんだっけ...見た目で判断するっていうか、あなたがイケメンだから連絡先を聞きたくなるのは普通のことよ」
彰啓は困惑して眉をひそめ、少し理解に苦しむ様子で口を開いた。「普通?」
初は問い返した。「普通じゃない?」
初の返答を聞いて、彼は理解に苦しむ表情を浮かべた。
彰啓は彼女を見下ろし、顔中に疑問を浮かべながら、好奇心から本能的に尋ねた。「君もそうするの?」
「私は見知らぬ人に連絡先を聞いたりはしないけど、際立って素敵な人を見かけたら、つい何度も見てしまうことはあるわ」
彰啓は「...」と言葉を失った。
しばらくすると、お姉さんが携帯を手に興奮気味に二人の前に駆け寄り、壁ドンのテンプレート画像を選んで見せた。「二人でこれを撮ってみない?」
彰啓は画面の写真をちらりと見て、あまりにも親密な写真に一瞬黙り込んだ。
「どう?」お姉さんは満足げに微笑んだ。「二人で撮ったら、この写真より絶対素敵になるわよ」
初は近づいて見てみた...少し恥ずかしさはあったものの、受け入れられないほどではなかった。
しばらくして、初は好奇心を抱きながら、自ら姉に尋ねた。「...どうやって撮るの?」
写真の背景は室内で、女性の背後には厚い壁があり、構図は明確で美しかった。
しかし初たちは屋外にいて、このような雰囲気を出すのはかなり難しそうだった。
「それは簡単よ、太い木を見つければいいわ」この森の中で大きな木を見つけるのは簡単で、全く手間はかからなかった。
撮影場所を探している間に、彰啓は初の横を歩きながら、静かに声をかけた。「本当に撮りたいの?」