第35章 盟友二人組

田中純希は呆然とした。まさか渡辺健太と前妻の山崎悦子も単なる企業同士の政略結婚だったの？当時、健太が23歳の時に結婚したとき、メディアは世家の恋人たちが結ばれたと大々的に報道し、まだ学業も終えていないのに幸せな結婚をしたと、とても美しく描かれていた。

純希もずっと、健太の心の中には前妻への思いが残っていると思っていた。

どうやら、それは部外者の一方的な推測に過ぎなかったようだ。健太が本当に好きだったのは、実は佐々木静なのだろうか？

そうだとしたら、彼は今や家族の権力を引き継いでいるのだから、静と結婚したくても誰も反対できないはず。なぜ彼女に正式な立場を与えないのだろう？

純希は慎重に尋ねた。「あなたのお父さんは、この数年間で恋愛とかしてないの？」

渡辺修一の目に怒りの感情が浮かんだ。「佐々木静っていう女はひどすぎる。ずっと父にまとわりついてる。僕は絶対に彼女が家に入ってくるのを許さない！」

純希は修一がある人物にこれほど強い偏見を持っているのを初めて見た。「静さんがどうしたの？」

修一は尋ねた。「純希姉さんも彼女を知ってるの？」

「私があなたたちの私立病院に入院していた時、彼女が世話をしてくれたわ。私にはとても親切だったわよ」

修一は憤慨して首を振った。「純希姉さん、そんなに簡単に彼女に騙されちゃダメだよ。彼女は本当に意地悪な女なんだ！」

「どういうこと？」

「彼女はいつも父にまとわりついてる。父は僕よりも彼女に優しいんだ！」

純希は理解した。「あなたは彼女があなたのお父さんを奪ったことを妬いているだけでしょ？」

修一は弁解した。「そんなことないよ。僕は間違えないよ。あの女は偽善者だ」

「へぇ、あなたは偽善がなんだか分かるんだ」

「本当だよ！」

純希は彼と議論するのをやめた。修一の気持ちは理解できた。

彼女は言った。「実はね、お父さんはあなたにとても優しいのよ。たぶんお母さんのことがあるから、あなたに対して別の感情があるかもしれないけど、心の中ではあなたを愛してるわ。それに彼の性格はもともと冷たくて、あまり表現しないでしょ。ほら、あなたが私を家庭教師として雇いたいと言ったら、彼はわざわざ時間を作って私に会ってくれたじゃない。私が遅刻したことさえ気にしなかった。それは全部あなたのためよ！」

修一の目が少し輝いた。「本当？」