第76章 精神科医を受診すべき

田中純希と小林筠彦は私立病院に到着すると、中島陽太と数人の医師が玄関で彼女たちを出迎えていた。彼は小林筠彦が車から降りるのを見て言った。「小林小母さん、今日は昨夜よりずっと顔色がいいですね。昨夜はよく眠れましたか?」

彼はそう尋ねながら、好奇心に満ちた眼差しで純希を見た。この二人は昨夜まで水と油のように相容れなかったのに、今日は一緒に来ているじゃないか。しかも小林小母さんの表情を見ると、機嫌も良さそうだ。

純希は一体何をしたのか、こんなに早く渡辺家の老夫人の好感を得られたのだろう?

小林小母さんがいる前では聞きづらいので、とりあえず疑問は胸にしまっておき、後でゴシップを聞くことにした。

数人の医師が老夫人に挨拶し、筠彦は礼儀正しくも距離を保ちながら彼らに挨拶を返した。一行は中へと進んでいった。

純希は最後尾を歩いていた。彼らが緑豊かな庭園を通り過ぎる時、彼女は佐々木静が木の陰から彼らを見ているのに気づいた。

正確に言えば、渡辺奥さんを見ていた。

純希は静をしばらく見つめていたが、距離が遠すぎて彼女の表情はよく見えなかった。しかし確かなことは、静の心中は穏やかではないということだ。

結局、彼女は渡辺奥さんが自分の姉を死に追いやったと言っていたのだから。

彼女はあまり深く考えなかった。コーヒーショップで対立して以来、純希は静に対して敬して遠ざけるという態度を取っていた。

彼らがもう一つの大きな建物に入ろうとしたとき、静の視線がようやく列の最後にいる純希に向けられた。彼女は不確かな様子で数歩近づき、自分が人違いをしていないことを確認した。

純希がどうして渡辺奥さんと一緒に来ているのだろう?理屈から言えば、渡辺奥さんが戻ってきた後、純希は渡辺家から追い出されているはずだ。

事態がこんな風に変わるなんて、彼女の予想とはまったく違っていた。

静は凶暴な光を目に宿し、彼らが検査棟に入るのを見てから、自分も後に続いて中に入った。

彼らは6階に上がり、筠彦が中で検査を受けている間、純希は外で待っていた。