第17章 三百万では、私の人生は買えない！

須藤夏子は自分がおとぎ話のシンデレラになったとは思わなかった。そして西園寺様にそう指摘されて、彼女は突然、昨日西園寺真司が彼女を救ったのは、単なる偶然ではなかったのかもしれないと思った。

西園寺真司と石川家の人々は明らかに知り合いで、しかもその関係はとても微妙なものだった。

もしかして——

「西園寺様、あなたは私に興味があるのではなく、石川家に興味があるのではないですか」夏子は今朝の出来事を思い出し、目を細めた。今日、城太が真司について言及した時の緊張と警戒心は、彼女が城太に見たことのないものだった。

「なかなか賢いね、すぐに察するとは」真司の目に笑みが深まり、そのままソファに腰を下ろした。

夏子は周囲を見回し、最後に真司の向かいのソファに座り、眉をひそめて黙っていた。

真司は自分にシャンパンを注ぎ、笑いながら尋ねた。「では、私が誰か知っているかい？」

「あなたはS＆Y集団の社長です。もしかしたら別の身分もあるかもしれませんが、それは私には分かりません」夏子は正直に答えた。

「確かに私にはもう一つの身分がある。私は石川城太の兄だ」真司はそう言うと、グラスから夏子に視線を移し、探るような眼差しを向けた。

夏子は衝撃を受け、信じられないという表情で真司と目が合った。

城太は石川お爺様の唯一の孫ではなかったのか？どうして突然西園寺真司が現れたのか、しかも彼は西園寺姓で、石川姓ではない！

真司は夏子の驚きを見て取ったが、彼と城太の関係を説明するつもりはなく、ただこう言った。「石川お爺様は死ぬ前に遺言を残した。私と城太は石川テックに対して同等の相続権を持っている。私がいる限り、城太は石川テックの唯一の相続人ではない。そして私が最も好きなことは、城太を苦しめることだ」

夏子はこれを聞いて、ようやく城太がなぜ真司をそれほど警戒しているのか理解した。

「西園寺様、私はあなたと城太、石川家のことに興味はありません。それに、これらは私とは関係ありません」

「関係ないわけがない。君は城太が好きな女性だ。彼の好きな女性が彼の義姉になったら…面白いと思わないかい？」

夏子は驚いて立ち上がり、しばらくして「くだらない！」という言葉だけを吐き出した。