第24章 暇つぶし

「そういうことなら、真司兄さんは夏子と本当に前から知り合いだったの？夏子に気があるんじゃないの？」

深井杏奈は自分の錯覚かどうか分からなかったが、西園寺真司の遊び人らしい笑みの中に、愛情を感じたような気がして、ますます不安になった！

真司は目の端で杏奈を見て、彼女の表情をすべて見透かしていたが、少しも動揺を見せず、笑いながら言った。「当たったね、俺は確かに彼女に気がある」

杏奈の顔色は一瞬にして真っ青になった！

「どうして...どうして夏子に気があるの？彼女は私の妹よ、彼女から一度もあなたのことを聞いたことがないわ...あなたたちどうして...」杏奈は冷静を装おうとしたが、思考はすでに乱れ、まともな文さえ話せなかった。

真司は絶対に夏子を好きになってはいけない！

誰を好きになってもいいけど、夏子だけはダメ！

「俺が彼女に気があるって、そんなに驚くか？」真司はわざと説明せず、悪趣味に杏奈の表情を楽しんでいた。

杏奈は顔を上げて真司を見て、自分が取り乱していたことに気づき、慌てて説明した。「確かに少し驚いたわ、だって二人とも私がよく知っている人だから」

真司の目に一瞬光が走った、嘲笑のようだった。その後彼は説明した。「二ヶ月前、飛行機で偶然彼女に会って、面白い子だと思った。昨日になって初めて、彼女が君の妹で、石川城太の元カノだと知った。それで彼女にもっと興味を持ったんだ」

杏奈の目に再び驚きが浮かび、思わず声に出して尋ねた。「あなたは二ヶ月前に夏子と知り合ったの？」

真司は彼女を見返し、まるで「そうでなければ？」と言っているようだった。

杏奈は突然ほっとした。

どうやら、真司は何も知らないようだ、ただ単純に夏子に興味があるだけのようだ。

「真司兄さん、言うべきかどうか迷う言葉があるの」一時的に安心したものの、杏奈は油断できなかった。もし真司と夏子の接触を放置すれば、真実はいつか明らかになるだろう。もし夏子が幼い頃のことを思い出したら、彼女は万劫不復になってしまう！

真司は笑みを浮かべながら彼女を見て言った。「どうやら言うべきではない言葉のようだね、なら言わないほうがいい」