第35章 奇妙な萌え系少女(3)

須藤夏子は少女を自分の部屋に泊めることにし、生活用品をいくつか渡した後、先にお風呂に入るよう促した。

少女は全く人見知りせず、自分のスーツケースを開けて寝間着を選び始めた。

夏子は彼女のスーツケースの中身を見て、思わず舌打ちした。

やはり見間違いではなかった。この少女は普通の家庭の出ではない。スーツケースの中の服は全て最高級ブランド品で、どれか一つでも夏子の数ヶ月分の給料に相当する。ましてや、無造作に放り込まれたアクセサリー類はなおさらだ。

「貴重品はちゃんと片付けておきなさい。なくなっても知らないわよ」

少女は不思議そうに自分のスーツケースを見て、しゃがんだまま振り返って尋ねた。「貴重品ってありましたっけ?」

夏子「……」

なるほど、お金持ちの家の子供の目には、これらはただの日用品に過ぎないのだろう。

二人がお風呂を済ませた後、少女はまた眠くなり、ベッドに上がってすぐに寝ようとした。夏子はこの子の神経の太さに呆れながらも、彼女を引っ張り起こして言った。「先に家族に連絡しておきなさい」

「でも電話番号覚えてないんです」

「他の連絡方法でもいいでしょ。チャットアプリとかSNSとか会社の電話でも。そうしないと家族が心配するわよ」

少女は少し考えて、確かにそうだと思ったようで、「じゃあ、携帯貸してください。チャットアプリで兄に連絡します」と言った。

夏子が携帯を渡すと、少女はチャットを始め、かなり長い時間話し込んでいた。

「どう?連絡取れた?」

「うん、兄に話したら、午後に急な出張が入って、三日後に戻ってくるって。自分でホテルを見つけて泊まっていてって言われたけど、私はお姉さんの家に泊めてもらってると伝えて、住所も教えたの。兄はここで待っていなさいって、三日後に迎えに来るって」

「……」夏子は「つまり、ここに三日間泊まるつもり?」と尋ねた。

少女は夏子が自分を追い出そうとしていると感じ、また哀れっぽい表情を浮かべて言った。「お姉さん、私の財布盗まれちゃって、銀行カードもクレジットカードもないの。ホテル代払えないよ」

夏子は彼女の視線に鳥肌が立ったが、自分でさえもこの家にはもう居られないのに、見知らぬ人を住まわせるわけにはいかない。「お金をあげるから、ホテルに泊まりなさい。私も明日家を出るの」