第34章 奇妙な萌え系少女（2）

「和景ガーデンに何をしに行くの？」須藤夏子が疑り深いのではなく、本当に偶然すぎたので、警戒せざるを得なかった。

「義姉さんに会いに行くんです。彼女がそこに住んでいるんです」少女は無邪気な顔で言い、嘘をついているようには見えなかった。

「あなた、地元の人じゃないの？」

「違いますよ、千景市から来たんです。お姉さん、安心してください、私は悪い人じゃありません」少女は夏子が自分を疑っていることを知っているようで、顔には奇妙にも安堵の色が浮かんでいた。

夏子は口元を震わせたが、目の中の警戒心は減らなかった。「家族は迎えに来なかったの？義姉さんに電話はした？」

「飛行機を降りたとたん、財布と携帯を盗まれてしまって、迎えの人を長い間待っていたけど見つからなくて、それで色々な人に乗せてもらって、最後にお姉さんに出会ったんです」

夏子は彼女の困った顔を見て、信じてしまい、「わかったわ、送ってあげるわ。ちょうど私の家もそこだから。行きましょう、バスに乗らないと。これ以上遅くなると、バスがなくなるわよ」と言った。

少女は「あ」と声を上げ、「タクシーに乗れないの？」と尋ねた。

「高すぎるわ。今はお金を節約しないといけないの」

「そうなんだ」少女はあまり気にしていないようで、夏子についてバスに乗った。

終バスに近かったため、バスはとても空いていたが、少女はわざわざ夏子の隣に座り、道のりの半分も行かないうちに、夏子の腕に寄りかかって眠ってしまった。

夏子は彼女を見つめ、唇に突然笑みが浮かんだ。かつての自分を思い出したのだ。

4年前、彼女は一人で海外の西部に雪山登山に行ったが、雪山への途中で道に迷い、ちょうど登山に来ていた石川城太に出会った。当時の彼女は目の前の少女と同じように、城太を自分の財布とコンパスのように頼り、同じように無邪気で無頓着だった。

4年か...あの無頓着だった彼女は、愛の崩壊とともに砕け散ってしまった。愛は戻ることができるのか、彼女にはわからなかったが、あの頃の彼女には、もう二度と戻れないことだけは確かだった。