第33章 奇妙な萌え系少女(1)

三日後、陸橋天音は東京に降り立った。

そして同じ時間に、須藤夏子も入職手続きを済ませ、他の教師たちと一緒に前期の準備作業を始めていた。

一日の煩雑な仕事を終えて、夏子はようやく、お金を稼ぐことがどれほど大変なことかを知った。

「須藤先生、私たちと一緒に夕食を食べてから帰りませんか?」夏子と同じくらいの年齢の女性教師が笑顔で尋ねた。彼女はこの親しみやすい新しい同僚の印象が良かった。

夏子は時計を見ると、もう6時だった。そこで言った。「私の家は学校からかなり遠くて、車も持っていないので、遅くなると帰りの交通機関が不便になってしまいます。寮に引っ越したら、またみなさんとゆっくり集まりましょう。今日は本当にごめんなさい」

「大丈夫ですよ、一日中お疲れでしょうから、早く帰って休んだ方がいいですね。また明日」

他の教師たちに笑顔で別れを告げた後、夏子はゆっくりと校門を出た。

8月のキャンパスは、真夏特有の明るさを帯びていた。ちょうど雨が降ったばかりだったので、空気までもがしっとりと柔らかく、涼しくて爽やかな香りがした。夏子はこの感覚を楽しんでいたが、徐々に何か違和感を覚え始めた。背後から誰かの気配がずっとついてくるような気がした。

入学準備のため、最近は学生の見学を謝絶していたので、この時間のキャンパスはがらんとしていた。夏子はその違和感を感じてから、背中がぞくぞくするような気がして、足を速めた。

地下鉄の駅に着くと、人が多くなり、やっと怖さが和らいだ。

駅を選び、硬貨を入れ、夏子が地下鉄の切符を買い終え、ちょうど振り返ろうとした時、後ろから突然心地よい声が聞こえた。

「お姉さん、お金がないんです。地下鉄の切符を買ってもらえませんか?」

夏子が振り返ると、とても可愛らしい少女が立っていた。17、8歳くらいで、おしゃれな服装をし、レモンイエローのスーツケースを持っていた。お金に困っているようには見えなかった。

「どこに行くの?」数百円の話だし、夏子はこの少女が本当にお金がないのかどうか詮索する気にもならなかった。

少女はすぐに答えた。「津江通りに行きます。西駅で降ります」

夏子は眉を上げた。なんという偶然、自分も同じ場所だった。