第26章 面接

昼に履歴書を送ったばかりなのに、午後には面接の招待を受け取った。須藤夏子は初めて、大富大学は悪くない学校だと感じた。

面接は翌日の午前10時に設定された。夏子はトップクラスの音楽学府の出身だが、それでも準備が必要だった。特に彼女は一つの午前中に二つの職位の面接を受けなければならなかった。

翌日の朝、夏子は8時前に起床した。須藤明良に挨拶した後、タクシーで大富大学へ向かった。道は少し渋滞していて、大学に着いたときにはすでに9時半だった。

大富大学は東京で最も有名な高等教育機関であり、全国でもトップ5に入る重点芸術学院だった。予想通り、准教授の面接には多くの人が集まっていた。

夏子は履歴書を遅く提出したため、面接は最後になった。

面接の内容はシンプルで、歌唱技術、舞台での表現力、教育経験についてだった。彼女はカーティス音楽学院で何年も鍛えられてきたので、まさに手慣れたものだった。そして彼女のパフォーマンスは、面接官たちを非常に感動させた。

「あなたはカーティス音楽学院の卒業生で、大学院も出られたのですか?」眼鏡をかけた中年女性が履歴書を見た後、少し信じられないという様子だった。しかし夏子の音楽的造詣と表現力は彼女の学歴を十分に証明しており、それがこの中年女性をますます驚かせた。

夏子は傲慢にならず、とても謙虚に頷いた。

「そんなに高いスタートラインから始めたのに、なぜ帰国を選び、そしてなぜ私たちの大富大学を選んだのですか?」カーティスは音楽家の揺りかごであり、カーティス音楽学院を卒業した学生は、有名なオーケストラで働くか、世界的に有名なオペラハウスで働くかのどちらかだ。中年女性が好奇心を持つのも無理はなかった。

夏子は当然、単に一時的に高給の仕事を探しているだけだとは言わなかった。彼女は正直でありたいと思っていたが、愚かではなかった。

「私の家は東京にあり、家から遠く離れたくありません。でも仕事は必要です。東京では、大富大学が最良の選択肢です」夏子は半分本当で半分嘘を言いながら、この学府を褒めることも忘れなかった。

中年女性は満足げに頷き、彼女が外で待っていてもいいことを示した。

面接の最終結果は10分後に発表され、16人の中からたった2人だけが採用される。

夏子は面接官たちの反応から、この職位は確実だと思い、平静な心持ちで外で待っていた。