「やはり私が須藤お嬢さんをご馳走しましょう。男として、食事代を女性に払わせるわけにはいきませんから」宮平一郎は考え込んだ。これが彼の罪を軽減する唯一の方法かもしれなかった。
須藤夏子も遠慮せず、さっそく校門の外へ向かった。
最終的に、二人は屋台の麺屋を選んだ。
「宮平様、西園寺真司の下で働いて、月給はいくらなんですか?」夏子は食べながら尋ねた。彼女は一郎を見下しているわけではなく、ただ彼が西園寺に付き添って、普段は高級ホテルばかり利用しているはずなのに、なぜ彼女と一緒に小さな麺屋で食事することに同意したのか不思議に思っていた。
一郎は何気なく答えた。「年収は一千万円だよ」
「ぷっ——」夏子は口に入れたばかりの麺を吹き出してしまった!
一千万円、そんなに多いなんて!
「あなたはただのアシスタントでしょう?どうしてそんなに高い給料なの?」夏子は傷ついたような気分になった。彼女は准教授の職に応募しているが、一コマ数千円で、一ヶ月フルに働いても百万円にも届かないのだ!
一郎は平然と尋ねた。「高いかな?」
木村弘恪の給料は彼の二倍だというのに。
「普段の仕事内容はどんなことがあるの?」夏子は諦めきれずに尋ねた。本当に職務価値が高いのか、それとも単に社長が金持ちで気まぐれなだけなのか知りたかった。
一郎は少し考えてから言った。「朝起こして、車で送り迎えし、お茶を入れ、書類を整理し、犬の世話をして…人間がやることなら何でもやります。簡単に言えば、時間を売り、体を売り、そして魂を売るということです」
夏子は「……」
なるほど、最後の一点だけ見ても、確かにこの仕事はその価値があるようだ。
二人が麺を食べ終わった後、キャンパス内をぐるりと一周した。夏子は一郎から、セイント&ヨークは現在、入学定員が制限されており、毎年わずか300人しか受け入れていないこと、キャンパスは大富大学の半分の大きさしかないが、総投資額は大富大学の5倍以上で、あらゆる面で最高品質を追求していることを知った。
これによって夏子のここで働きたいという決意はさらに固まった!
面接時間になると、一郎は自ら夏子を面接会場である学校の音楽ホールまで案内した。