第79章 積極的に

その後数日間、須藤夏子が西園寺真司に会う回数はますます少なくなっていった。

毎日早朝から、真司は木村弘恪と宮平一郎と出かけ、夜11時前にはホテルに戻ってこなかった。

一方、夏子も仕事が軌道に乗り、ますます忙しくなっていた。

毎晩、真司が帰ってくる頃には、夏子はいつも待ちくたびれて眠ってしまい、翌朝夏子が起きる頃には、真司はもう出かけた後だった。一日中、二人はほとんど言葉を交わす機会すらなかった。

このような日々が10日間続いた後、夏子はようやく気づいた。真司が彼女を避けているようだと。

この夜、夏子は同僚たちとの食事会の後ホテルに戻り、寝室に残されたわずかな真司の痕跡を見つめながら、思わず彼にメッセージを送った。

「今日は何時に帰る？」

3秒もしないうちに、真司から返信が来た：遅くなる、先に寝ていて。

夏子はその簡潔な六文字を見つめ、しばらく声も出なかった。

いつものようにシャワーを浴び、髪を洗った後、夏子は早めに床についた。しかし夜11時近くになると、自分でセットしたアラームで目を覚まし、起き上がってお茶を入れ、真司の帰りを待った。

真司もいつものように、11時を過ぎるとぴったりとホテルの部屋に戻ってきた。ただ今日はドアを開けるとすぐに部屋の中からコーヒーの香りがし、目を上げると夏子がパジャマ姿でソファに座って本を読んでいるのが見えた。

「待つなって言ったのに。こんな遅くまで、どうして休まないの？」真司は眉をひそめながら近づき、夏子の手から本を奪った。こんな暗い光の中で、目を悪くするのも構わないのか。

夏子は手が空いたので、そのままカップを取り、コーヒーを飲もうとした。

真司は再び手を伸ばして彼女のカップを奪い、眉間に怒りの色を浮かべた。「夜にコーヒーなんか飲むな！」

夏子は手を引っ込め、顔を上げて真司を見つめ、冷静な表情で尋ねた。「どうして最近こんなに遅いの？」

真司はコーヒーを脇に置き、クローゼットの前に歩いてシャツを脱いだ。ちょうどソファに投げようとしたとき、夏子が彼の汚れた服を受け取り、引き続き問いかけるように彼を見つめた。

「最近、買収案件があって、少し厄介なんだ。」

夏子はまだ信じられず、尋ねた。「本当にそんなに忙しいの？」