第81章 私だけが見ることができる！

翌朝早く、須藤夏子がまだうとうとしている時、隣で誰かが動くのを感じた。彼女は目を半分開けると、西園寺真司がすでに起きているのが見えた。外を見ると、まだ暗く、夜が明けていないのか天気が悪いのかわからなかった。

「どうしてこんなに早く起きたの？」夏子は起き上がろうともがいた。

真司は直接かがんで彼女を押さえつけ、静かに言った。「今日は交渉の最終日だから、朝に緊急会議がある。まだ早いから、もう少し寝ていて。それと、天音の入学手続きを手伝ってくれないか。」

夏子はまだはっきりしておらず、彼の言った一連の言葉の中で「もう少し寝ていて」だけが頭に入り、そのまままた眠りについた。次に目覚めた時には、すでに朝の8時過ぎだった。

「そういえば、真司は私に何をするように言ったっけ？」はっきりした瞬間、何かが頭の中をよぎったが、つかむことができず、夏子はベッドから飛び起きた。

しばらくすると、数日間姿を消していた陸橋天音がドアを開けて入ってきた。元気のない様子だった。

「お姉さん、まだ起きてないの？兄さんが入学手続きを手伝ってほしいって。」

夏子はようやく、真司が言っていたのはこのことだったと思い出し、天音の落ち込みぶりには気にせず、急いで起きて身支度を始めた。

出かける直前になって、夏子はようやく天音の様子がおかしいことに気づき、尋ねた。「今日はどうしたの？薬飲んでない？」

天音は少し口をとがらせ、大きな目に不満をいっぱい浮かべて言った。「また失恋しちゃった。お姉さん、ご飯おごって。」

夏子：「……」

詳しく問いただすことなく、夏子はまず天音を学校に連れて行って手続きを済ませた。天音は落ち着いて座っていられないタイプに見えたが、彼女が学んでいたのは意外にもチェロで、しかもすでにかなりの腕前だった。すべての手続きが終わった後、夏子はレストランを見つけ、天音の愚痴を聞く準備をした。

「さあ、どうしたの？」夏子はジュースを飲みながら天音を見た。

天音はテーブルに伏せて、手に持った写真を見つめながら、非常に苦しそうな表情で言った。「信歴兄さんがまた新しい彼女ができた。」