第82章 「高高と上」の習慣

陸橋天音が失望に浸り続けないように、昼食後、須藤夏子は天音を連れてショッピングに出かけた。自分たちの利益は外に流さないという原則に従って、二人はS&Yモールに直行した。

二時間買い物をして回ったが、夏子は何も買わなかった。その代わり、両手は天音が買ったものでいっぱいになった。宝石か靴か、すべて重量のあるものばかりだった。

「重すぎる、もう帰りましょう」夏子は初めてカードを使いすぎて手がだるくなる感覚を味わった。手だけでなく、体全体がくたくたで、立っているのもやっとだった。

天音はまだ満足していなかったが、荷物が多すぎて持ちきれなくなっていた。そこで彼女は言った。「お兄さんは今きっと会社にいるわ。荷物を彼のところに置いて、夜にホテルまで持って帰ってもらいましょう。それから買い物を続けましょう!」

夏子は彼女に対して何も言えず、オフィスフロアへと向かった。二人がエレベーターの前に着いたとき、西園寺真司が別のエレベーターから出てきた。

「西園寺真司!」

夏子は人ごみの中で叫んだが、距離があったせいか、真司は聞こえなかったようで、木村弘恪と宮平一郎を連れて建物を出て行った。

天音はその様子を見て、少し躊躇した後、夏子の手を引いて追いかけた。しかし、玄関を出たときには、真司の車はすでに走り去っていた。天音は悔しそうに足を踏み鳴らし、すぐにタクシーを拾って後を追った。

「おかしいわね、彼は午後会社で会議があるって言ってたのに。どうして出かけたのかしら?」夏子は昼食時に受け取ったメッセージを思い出し、つぶやいた。特に深く考えてはいなかった。

しかし天音は眉を上げて夏子を見て言った。「お兄さんが本当にそう言ったの?じゃあ、ついて行って見てみましょう。ちょうど午後、彼と一緒に食事ができるわ」

夏子が断ろうとしたとき、真司の車がオースホテルの入り口に停まるのが見えた。天音は夏子がまだ躊躇しているのを見て、彼女の腕を引っ張って言った。「何をためらっているの?疑問があるなら、見に行けばいいじゃない。一人で想像するのが一番つまらないわ」

夏子は彼女の言うことにもっともだと思った。それに、もう着いたのだから、見るだけ見てみようと思った。