「はい、私はあなたが好きです」
西園寺真司は今回もう逃げることなく、堂々と認めた。
須藤夏子は彼の目をじっと見つめ、一瞬我を忘れた後、突然手を伸ばして真司の頬に触れた。彼女の瞳には相変わらず感情が宿っておらず、さらに尋ねた。「いつからなの?」
真司は彼女の目を見つめ、瞳に笑みを浮かべた。「あなたが知らなかった頃からです」
彼女が知らなかった頃から……
彼女と彼は実は18年前から知り合いだった。彼はすべてを覚えているが、彼女は忘れてしまった。
18年前、彼女は彼を救うために手術台に横たわり、それ以来、彼のことを忘れてしまった。しかし彼は誓った、一生彼女を守ると。
彼自身もいつからか、この思いが彼の初恋になったのかわからなかった。彼女でなければならないというわけではなかったが、心の奥底に秘めていたからこそ、長い年月を経てより深くなっていった。
夏子は記憶を宿したような彼の瞳を見つめ、女性の直感から尋ねた。「私たち、ずっと前から知り合いだったの?」
真司の手は無意識に強く握りしめられたが、口調は落ち着いていた。「いいえ、違います」
夏子は自分の直感を信じていたが、真司のことも信じていた。数瞬の躊躇の後、彼女は後者を選び、空虚だった瞳にようやく感情が宿った。そして言った。「真司、私のことを好きでいてくれてありがとう。私、良い妻になるよう頑張るね」
真司はその言葉に低く笑い、その端正な顔は灯りの下で日月のような輝きを放ち、見惚れるほど美しかった。その後、彼は腕の中の夏子を見下ろし、朗らかに言った。「楽しみにしています」
彼はこの結婚に、確かに大いに期待していた……
——
結局、真司は夏子を病院に連れて行かなかった。夏子が表面的な傷だけだと主張し、自分で処置すると言い張ったからだ。真司は彼女を説得できず、直接ホテルまで送った。
ホテルには応急処置の薬がすべて揃っていた。夏子は手慣れた様子で傷を処置し、真司は彼女の手際の良さに驚いて尋ねた。「よくこういうことをするの?」
夏子は顔を上げずに答えた。「昔スキーを習っていた時、よく擦り傷を作ってね。いつも自分で処置していたから、そのうち慣れたの」
真司は再び驚いた。「スキーが好きなの?」