須藤夏子は、西園寺真司と一緒にいる時間が長くなるほど、自分の厚顔無恥さが増していくように感じていた。
彼女は自分の神経がかなり図太いと思っていたが、真司がそんなことを言うのを聞いた時、それでも思わず顔を赤らめてしまった。
「そ、それじゃあ早く食事に行きましょう、お腹空いたから」夏子はこのような注目を浴びる感覚をずいぶん久しく味わっていなかった。一方では行き交う人々の指さしや噂話、もう一方では真司の冗談めいた視線。このままここに立ち続けたら、夏子は自分の手をどこに置いたらいいのかさえわからなくなりそうだった。
真司は素早く彼女の額にキスをし、紳士的に車のドアを開けてあげた。
夏子は逃げるように車の中に滑り込み、ちょうどドアを閉めようとした時、森本先生というお調子者がどこからともなく飛び出してきて、車のドアに手をかけながら驚いた声を上げた。「須藤先生!本当にあなただったんですね!」
「あ……」夏子は穴があったら入りたい気分だった。「森本先生、まだ帰ってなかったんですか?」
「帰らなくて良かったです。そうじゃなかったらこの光景を見逃すところでした。まあまあ……須藤先生、こちらがご主人ですか?」森本の視線は夏子のためにドアを閉めようとしている真司に向けられた。真司の顔立ちははっきりと見えなかったが、鼻、口、耳という三つの特徴は十分に見て取れた。森本先生が二文字で表現するなら、それは「超イケメン!」だった。
夏子は実際かなり気まずかった。森本先生の様子があまりにも熱心で好奇心旺盛だったため、対応に困ってしまったのだ。そこで夏子は恥ずかしそうに真司を見て、彼自身に返事をしてもらおうとした。
真司は冷静に森本先生に微笑みかけ、言った。「こんにちは、私は夏子の夫です」
このような簡潔な自己紹介で、姓すら名乗らないなんて、夏子はこれも真司にしかできないことだと思った。
しかし森本先生はまったく気にする様子もなく、すぐに目を輝かせ、真司を見つめながら、無意識のうちに唾を飲み込む仕草までした。
夏子:「……」
そこまで?……
「は、はじめまして!私は森本千羽と申します。夏子の同僚です」千羽は夏子の呆れた表情にまったく気づかず、嬉しそうに真司に手を差し出した。