第109章 夜半に現れた痴漢の手(1)

彼は女性経験はなかったが、妹がいたので、大きな生理用ナプキンが何を意味するのかすぐに理解した。

「生理が来たの?」

「うん……」須藤夏子は恥ずかしさのあまり頭を深く下げ、声も限りなく小さくなっていた。

西園寺真司は夏子を抱き寄せ、彼女の頭越しに背中を見ると、案の定スカートに暗赤色の血痕が広がっていた。彼の耳元が少し赤くなったが、夏子を抱き上げ、スカートの汚れを隠しながらホテルの部屋へ連れ戻った。

「まず温かいシャワーを浴びて。エアコンを低くしすぎないように。僕は買い物に行ってくる」ホテルには女性用品などなかったし、陸橋天音から借りるにしても、後々は買わなければならない。そこで真司は自分で多めに買ってくることにした。

夏子は着替えを持ってバスルームに向かったが、途中で頭だけ出して恥ずかしそうに小声で尋ねた。「どのタイプを買えばいいか知ってる?」

真司は無表情で彼女を一瞥し、何も言わずに車のキーと財布を持って部屋を出た。

夏子は口をへの字に曲げ、バスルームのドアを閉めてシャワーを浴び始めた。温かい湯が体を包み込んでくれるが、下腹部は冷たく痛みが走った。

彼女は生理痛持ちだったが、通常はそれほど深刻ではなく、我慢すれば過ぎ去るものだった。おそらく今夜冷たい飲み物を飲みすぎたせいで、今回の生理痛はいつもより激しく、時間が経つにつれて痛みは増していった。シャワーを終えた頃には、痛みで立っていられないほどだった。

「鎮痛剤も一緒に買ってきてもらえばよかった……」夏子は後悔の念に駆られた。痛みでベッドに横になりたかったが、真司がまだナプキンを買って戻ってきていないので、このままベッドに横になればシーツを汚してしまう。だから我慢するしかなかった。

バスルームで20分ほど蹲っていると、ドアがノックされた。夏子は青白い顔でドアに近づき、少し開けると、おむつのような巨大なナプキンが差し出された。

夏子はその大人用おむつのようなものを見て、思わず口元が震えた……

360度漏れ防止の「おむつパンツ」を身につけた夏子は、薄い青色のパジャマ姿でバスルームから出てきた。ベッドに横になるとすぐに、真司が湯気の立つ何かを持ってきて、夏子に差し出した。「黒糖湯だよ。少し飲んで」

夏子は心の中で少し感動し、受け取って少しだけ飲んだが、それ以上は飲めなかった。