第117章 逆襲せよ、西園寺夫人！（5）

須藤夏子は怒りと恥ずかしさで顔を赤らめた。

西園寺真司はそれが面白くて可笑しくて、思わず声を出して笑った。

夏子は歯ぎしりしながら真司を睨みつけたが、結局は自分から先に降参して、まるで敗走する兵士のようにバスルームへと逃げ込んだ。

彼女が入浴を終えた頃には、真司はもう別のバスルームで済ませていて、ゆったりとしたバスローブを着て書類に目を通していた。

夏子はこんな気まずい状況では、お互いに干渉しないほうがいいと思い、新しく買ったイヤホンを手に取って音楽を聴き続けようとした。しかし、ちょうどイヤホンを耳に入れようとした時、真司が彼女に手招きするのが見えた。

「何？」彼女の声色にはまだ怒りの名残があったが、西園寺若様の耳には、それはむしろ甘えているように聞こえた。

真司は何のために来てほしいのかは言わず、ただ「自分で歩いてくるか、それとも抱っこして連れてくるか？」と言った。

夏子は口角を少し引きつらせながら、持ち物を置いて自分から歩み寄った。

真司は彼女を直接引き寄せて自分の膝の上に座らせ、彼女の耳が突然赤くなったことに気づかず、テーブルの上の書類を指差して言った。「これは長谷米花に関する全ての資料だ。よく読んでおくと、明日彼女に会うときに役立つよ」

夏子は仕事の話となると、今自分と真司がどんな状況にあるかなど気にならなくなり、首を伸ばして書類を覗き込んだ。

確かに、米花の性格、趣味、経歴、そして誰と仕事をしたことがあるかまで、すべて詳細に書かれていた。

「どうしてこんな資料を持ってるの？ここに書いてあることの多くは調べられないはずでしょ？」夏子はこの詳細な資料を見ながら、心の中で感動していた。この資料が役に立つかどうかは別として、この真剣さだけでも貴重だった。

「長谷米花は今は音楽プロデューサーだけど、まだ環宇会社と契約がある。天音のお母さんは環宇の株主だから、こういった資料を手に入れるのは難しくないんだ」

夏子はうなずき、真剣に読み始めた。

真司は彼女が完全に自分を無視していることに少し不満を感じたが、幸いにも小さな妻はまだ彼の腕の中にいた。そこで...自分が無視されている間に、こっそりと手を伸ばして妻の腰に回し、それから指を動かして、上へと冒険するべきかどうか迷っていた...