第174章 結婚式の再提案

「忘れたのか?石川お婆様が当初なぜ深井家と石川家の婚姻に反対したのか?」

木村眉子の怒りはさらに強まり、密かに須藤夏子を一瞥した。その眼差しはまるで仇敵を見るようで、怒りのあまり叫び出しそうになった。

「それもこれも夏子のせいじゃない!石川お婆様は何を考えているのか分からないけど、杏奈は夏子ほど美しくないだけで、他のどこが夏子に劣るというの?城太自身が夏子と別れたと言っているのに、石川お婆様はそれでも認めないなんて!」

須藤明良はその言葉を聞いて少し不満そうな表情を見せた。眉子が夏子をそのように評価することが気に入らないようで、語気にも怒りが混じった。

「石川お婆様は夏子に会ったこともないんだから、特別好きというわけでもないだろう。お婆様が当初この婚姻に強く反対したのは、単にそれが道徳に反すると思ったからだ。今やっとお婆様が認めて、我が須藤家を訪れる気になってくれたんだ。もし杏奈と夏子が平和に共存している姿を見れば、杏奈への抵抗感も減るかもしれない」

眉子はすぐに明良の意図を理解した。彼の意図が分かると、怒りは笑顔に変わり、「やっぱりあなたは頭がいいわね!」と言った。

明良は妻のその様子を見て、再び厳しい口調で注意せざるを得なかった。「だから今日は夏子に対して態度を良くしろよ。最後にお前のせいで物事を台無しにするなよ!」

眉子は笑いながら明良を軽く突き、胸に手を当てて約束した。「分かってるわ、安心して」

そう言うと、彼女は直接西園寺真司と須藤夏子にお茶を注ぎ、自ら二人の前に運んだ。

明良は満足そうに頷き、再びリビングに座った。

「杏奈から聞いたんだが、西園寺若様と夏子はもう婚姻届を出したそうだね。西園寺若様はいつ結婚式を挙げる予定なんだい?」

明良がこの質問を口にした瞬間、リビングで黙っていた深井杏奈と石川城太は揃って真司の方を見た。まるで彼の答えに非常に興味があるかのようだった。

実際、彼らは明良と同様に、ビジネス界を席巻する西園寺若様が進んで須藤夏子を妻に迎えるとは今でも信じ難かった。しかし婚姻届はすでに提出されており、信じたくなくても信じるしかなかった。