第199章 深井お婆様

宮平一郎はその高級な腕時計のペアを見つめながら、心の中で「アーメン」と唟いた。

彼は技巧的に叩き壊し、この二つの時計が修復不可能でありながらも、元の姿が何だったのか分かるようにした。

西園寺真司に確認してもらった後、一郎はその腕時計を持って深井家へ向かった。

深井家は東京の麗景山の麓に位置していた。麗景山は低く小さな山で、その山の下には豪華な欧風の別荘群があり、この別荘群のオーナーが深井家だった。

一郎は深井家を訪れるのは初めてではなかった。入口のボディーガードが取り次いだ後、直接一郎をゴルフ場へと案内した。

コース内では、年配の婦人が湖のような青色のスポーツウェアを着て、ゴルフクラブを振っていた。その後ろには付き添いの深井杏奈、深井詩乃、そして深井和久がいた。

「深井お婆様、こんにちは」一郎はお婆様が一球打ち終えるのを待ってから、前に進み挨拶した。

お婆様は一郎を見ると、非常に丁寧に微笑んで言った。「あら、宮平くんが来たのね。どうしたの？西園寺のあの小僧が、私のようなお婆さんに会いに来なさいって言ったの？」

一郎は「宮平くん」という呼び方を聞いて、ある内臓のイメージが脳裏に浮かび、思わず口角が震えた。手に持っていた小さな袋をお婆様に差し出しながら言った。「はい、確かに少爺様が私にお婆様にご挨拶するようにと。これは少爺様が持ってくるようにと言われた贈り物です。少爺様は、必ずお婆様ご自身で開けてご覧になるようにとおっしゃっていました」

お婆様はゴルフクラブを和久に渡し、手を伸ばして受け取ろうとしたが、後ろにいた和久はその手提げ袋を見た瞬間、表情が一瞬凍りついた。

彼が贈り物を入れて送った袋とまったく同じだった。まさか、彼が送ったものではないだろうか？

贈り物を返して面と向かって恥をかかせるなんて、そういえば、西園寺真司ならやりかねない……

詩乃はその手提げ袋を見て、そして和久の表情を見て、すぐに何かを察し、笑顔だった顔が硬直した。