第200章 罪を被る

「これはどういう意味だ！」

深井お婆様は箱の中の粉々になった腕時計のペアを見た時、怒りのあまり物を叩きつけそうになった！

お年寄りに贈り物をする時は、通常、縁起を重んじるもので、時計類は絶対に贈ってはいけないものだ。それなのに西園寺真司は贈っただけでなく、壊れたペアを贈ったのだ。一体何のつもりだ！

深井杏奈は静かに後ろに立ち、何の意見も述べなかった。彼女は詩乃と和久のやり取りを見抜いていた。さっき詩乃が突然お婆様に甘えたことで、この件が詩乃たちに関係していることを確信した。西園寺も詩乃たちを狙ってきたのだ。この状況で口を出すなんて、彼女が正気を失わない限りありえなかった。

詩乃と和久の表情はどちらも険しかった。特に詩乃はそうだった。

この腕時計のペアが何を意味するのか、彼女はよく分かっていた。もし追及されれば、昨日彼女が須藤夏子を困らせた件が必ず暴かれるだろう！

だから彼女は懇願するように和久を見つめ、昨日の件をお婆様の前で明かさないでほしいと願った。

和久は詩乃を助けたいと思ったし、詩乃がお婆様に叱られるのも見たくなかった。そこで少し迷った後、「おばあちゃん、これは全て僕の責任です」と言った。

「あなたの責任？」深井お婆様は和久を見た。詩乃は和久のすぐ隣に立っていたので、お婆様は和久の顔に謝罪の色を見ると同時に、詩乃の緊張と恐れも目にした。すぐに眉をひそめた。

和久は深井家の長男として、下に二人の弟と二人の妹がいた。血のつながりがあるなしにかかわらず、和久は皆に非常に親切で、長兄としての風格があった。また、弟や妹がどんな過ちを犯しても、彼らの身代わりになろうとする点は、お婆様にとって嬉しくもあり、非常に不満でもあった。

深井お婆様は詩乃の様子を見て心中察したが、それでも「どう責任があるの？」と尋ねた。

和久は少し笑って、できるだけ軽い調子で大事を小さくしようとした。「以前、僕が西園寺と時計店でちょっとトラブルになって、この二つの腕時計は謝罪の気持ちとして送ったんです。でも西園寺がこんなに意地悪だとは思いませんでした。僕の謝罪の品をこんな形で返してくるなんて。」

この話は半分本当で半分嘘だったが、筋が通っていた。