第224章 愛していると言って

人の計画は天の計画に勝てない。

須藤夏子は結局お風呂に入っただけでなく、西園寺真司と一緒に入ることになった。

翌日、彼女が目を覚ますと、光はすでに屋根裏部屋の天窓から差し込んでいた。薄い布団越しにも、陽の光が体の上で踊るのを感じることができ、怠惰で温かな気分だった。

「動かないで、もう少し寝ていて」夏子が起き上がろうとすると、力強い腕が彼女の腰をきつく抱き締め、彼女を彼の方へさらに引き寄せた。

夏子の甘く熱い息が長く伸び、かすかな吐息が真司の鼻先に落ちた。

真司は怠惰な猫のように、目を閉じたまま彼女の頭をしっかりと抑え、薄い唇を押し付けた。しばらくして、彼はようやく満足げに目を開け、上から彼が押しつぶした蜜のような唇を見つめた。

「君の唇は本当に綺麗だね」真司は褒めながら、指で夏子の唇の形をなぞった。「キスをするのにも、私を愛していると言うのにも、ぴったりだ」

言い終わると、彼は再び唇を押し付けたが、深い瞳は閉じず、じっと夏子を見つめていた。

夏子は彼にじっと見られて気味が悪くなり、思わず白目をむいた。

真司はすぐに笑い出し、彼女の顎を持ち上げ、甘く囁いた。「キスはしたけど、まだ愛してるって言ってないね」

夏子はその三つの言葉に心臓を打たれ、真司をぼんやりと見つめた。

彼の眼差しはとても熱烈で誠実で、まるで長い間待ち望んでいた言葉を緊張して待っているようだった。

しかし夏子は口を開いても、一言も発することができなかった。

彼女は彼を愛しているのだろうか？

答えは否定的だった。少なくとも今は。

彼に慣れ、彼の好意や気遣い、触れ合いに慣れていても、彼女は自分が彼を愛していないことを知っていた。表面的な喜びから心の奥底までの安心感まで、彼は彼女に多くのものを与えてくれたが、彼女の心はいつも何かに覆われているようで、震えることができなかった。

ときめくこともできないのに、どうして愛を語ることができるだろうか……

「真司、ごめんなさい……」夏子は彼を騙すつもりはなく、唇を噛みながら小声で言った。

真司の目の中の光が一瞬揺れたが、最後には彼女の髪を撫でながら、彼女の鼻先に自分の鼻をつけて笑いながら言った。「大丈夫、僕が君を愛していればいいんだ」

夏子は胸が詰まる思いがした。罪悪感からなのか何なのか分からないが、突然目が赤くなった。