須藤夏子は犬を飼うことについて問題を発見したのは、これが初めてではなかった。
前回、山本ママが子犬を見たときの反応は、今の陸橋軽穂とほぼ同じだった。
しかし夏子は西園寺真司の反応からは何の異常も感じ取れなかった。考えた末、彼女はやはり後で軽穂に個人的に尋ねることにした。
客室がまだ整理できていなかったため、夏子は午前中ずっと忙しく準備していた。午後1時になってようやく、陸橋夫人の好みに合わせて客室を整えることができた。
真司はソファに座り、犬のように疲れ果てた妻をのんびりと眺めながら、軽く言った。「どうやら我が家の使用人たちは飾りでしかないようだな」
夏子は「……」
彼女は使用人のことをすっかり忘れていたようだった……
真司はうつ伏せになっている妻を抱き寄せ、彼女の腕と足をマッサージしてあげた。
夏子はすぐに疲労が半分ほど消えていくのを感じた。そして突然何かを思い出したように、真顔で尋ねた。「なぜもっと早く教えてくれなかったの!」
真司は動きを優しくしながら、ゆっくりと答えた。「わざとだよ。義母に君の誠意を見せるのも、悪くないだろう」
夏子は眉を上げて彼を見つめ、すぐに口元が緩んだ。
今日の客室の準備は、すべて彼女が自ら手がけたものだった。彼女は陸橋夫人の夏園での寝室を訪れたことがあり、夫人の好みをある程度把握していた。陸橋夫人は夏子が準備した客室を見て、確かに満足げに彼女を数言褒め、さらに心配そうに感謝の言葉を述べた。この苦労も報われた気がした。
「もう昼食の時間を過ぎてるけど、軽穂から聞いたところによると、義母さんは午前10時に機内食を取ったそうね。この時間に昼食を食べるのがちょうどいいと思うんだけど、私が自ら料理を作ってみようかしら?」夏子はやる気が出てきたようで、義母に気に入られようとする姿勢が見えた。
真司は片方の眉を上げ、疑わしげに尋ねた。「君は料理ができるのか?」
「手伝いくらいならできるわ。大事なのは気持ちでしょ」夏子は自分の考えが理にかなっていると思い、すでに心の中でそうすることを計画し始めていた。
真司は額に手を当て、きっぱりと彼女の幻想を打ち砕いた。「すでにホテルに食事を予約してある」
夏子はすぐに眉をひそめ、やや責めるような口調で言った。「なぜ家で食べないの?」