第280章 彼女こそが深井家の子供！（1）

石川城太とアシスタントは花の門の後ろに立っていた。三橋羽望と深井詩乃が続けて出てきたとき、その花の門はちょうど中にいる人の視界を遮っていたため、城太は二人を見たが、二人は城太に気づかなかった。

「旦那様、彼は須藤お嬢さんに何か企んでいるようです。誰かに見張らせましょうか？」アシスタントは少し躊躇してから尋ねた。

「あの二人をしっかり監視しろ！」城太はすぐに目を細め、その瞳には鋭い光が宿っていた。

さっき彼はぼんやりと、詩乃が何かを羽望に渡すのを見た。それが何なのか確信はできなかったが、確実に須藤夏子と深井杏奈に関係するものだろう。彼女たちに関わることなら、自分にも影響が及ぶ可能性が高い。取締役会の選挙が迫っている今、彼はどんなネガティブなニュースも許されなかった！

アシスタントは再び急ぎ足で去っていった。

城太は振り返り、幾重にも並ぶ花々の向こうに視線を送り、最後に遠くにいる細い影に目を留めた。彼の視線は突然止まった。

あれは——

須藤夏子だ。

夏子は今日、銀色のVネックロングドレスを着ていた。黒く美しい長い髪は小さな花のようにまとめられ、斜め後ろに垂れていて、上品で気品があった。

城太の目が一瞬揺らいだ。まるで白いドレスをひるがえす女性が、ロマンチックなキャンドルライトの下で「はい、喜んで」と言っていた光景が蘇ってきたかのようだった。彼の心臓が突然鈍く痛み、足は意識せずに視線の先へと向かった。しかし、彼が近づく前に、夏子は突然現れた木村眉子に引っ張られて行ってしまった。

城太はしばらく迷った後、結局二人の後を追った。

「あなた、前はどう言ったの？杏奈の結婚式には死んでも来ないって言ったじゃない！昨日結婚を発表したばかりなのに、今日はあなたの姉の結婚式に来て目立とうとして。あなた、わざとやってるんでしょ！」眉子は夏子を二階の人気のない廊下に引っ張り、周りに誰もいないのを確認すると、突然詰問した。

夏子はもう眉子から母親らしい愛情を期待していなかった。そして、どんな説明をしても、最後には眉子に叱られることを知っていたので、冷たくも頑固に言った。「なぜ私が来てはいけないの？わざと彼女の風を奪いに来たとして、それがどうしたの！」

「あなたは——」眉子は夏子がこんなに強気だとは思わず、思わず手を上げて彼女を懲らしめようとした。