第329章 西園寺若様が濡れ衣を着せられる

二人の推測は正しかった。

情報は確かに漏れていた。それも既に東京中に広まり、大騒ぎになっていた！

「こ、これは誰が流した情報なの！」深井お婆様は家に帰らず、会社の裏口から直接入った。

文越と泰歩は印刷されたニュースの束と雑誌を一冊お婆様に渡した。そこには深井杏奈と石川城太の離婚のニュースがはっきりと印刷されていた！

もし離婚だけならまだしも、杏奈が深井家のお嬢様を偽っていたことや流産の件も一緒に暴露されていた。これらの事件が繋がると、余計な想像をせずにはいられない！

「この件についてはまだ調査中ですが、今最も重要なのは対応策です。家、会社、病院、どこもかしこも記者だらけです。以前杏奈を家族として認めた時や結婚式の時に派手にやりすぎたのも原因でしょう。」

「会社の広報部は最初の段階でニュースを抑え込むことを知らないの？今や情報は広範囲に広まってしまった。今さら対応策を講じても損失は取り戻せないわ！」

「お母さん、まず落ち着いてください。この情報が広まったのは2時間前のことです。今は大騒ぎになっていますが、まだ東京内に限られています。広報部はこの件の影響を最小限に抑えるために全力を尽くしています。あと30分もすれば、ネットやメディア上のニュースはきれいに消えるでしょう。ただ...お母さん、これらの情報はすべて深井家と石川家の内部情報です。誰かが裏で糸を引いているのではないでしょうか？」文越は出来ることは全てやったと感じていた。今や情報が外部に知られてしまった以上、黒幕を見つけ出さなければならない。そうしなければ情報は止められないだろう。

お婆様はそれを聞いて黙り込み、続いて目に突然恐怖の色が浮かんだ。この件の犯人が誰なのか思い当たったようだった！

これらの事柄は確かに深井家と石川家の秘密であり、杏奈が深井家のお嬢様ではないという真実は昨日発覚したばかりだった。知っている人は非常に限られており、これら三つの事柄を同時に知っている人は数えるほどしかいなかった！

もしかして——

「このような情報を流すということは、深井家と石川家の両方を表に引きずり出すようなものよ。東京で深井家と石川家の両方に同時に敵対する勇気のある者なんて、片手で数えられるほどしかいないわ！」お婆様は一通り推測し、考えれば考えるほど筋が通っていると感じた！