第366章 社長夫人は……とても特別だね!

西園寺真司が試着室で服を試している間に、須藤夏子は急いで森本千羽に電話をかけた。

「千羽、今どこ?早く助けに来て!」

千羽はまったく焦っていなかった。彼女からすれば、夏子は西園寺真司のような超お金持ちと結婚したのだから、お金に困るはずがないと思っていた。たとえ一時的にお金が足りなくても、真司の二人のアシスタントに頼むだろうし、自分はただの緊急時の予備タイヤにすぎないのかもしれない。

そこで——

彼女はアパートの化粧台の前に座って髪をとかしながら、のんびりと言った。「焦らないで、すぐに行くから」

夏子は実際に彼女を信じてしまい、ただもう一度急かしただけだった。「急いでね!私はS&Yモールにいるから!」

そして誰かに見つかるのを恐れるかのように、急いで電話を切った。

千羽はそれを聞いてますます焦らなくなった。彼女の夫である西園寺若様はS&Yモールのボスではないか?オーナーの妻として欲しいものは何でも自由に取れるはずなのに、なぜ彼女に助けを求めるのだろう……

こうして、焦りまくっている夏子は知らないうちに、千羽というブタのチームメイトに裏切られていたのだった……

真司はすぐに試着室から着替えて出てきた。オーダーメイドのスポーツウェアではなかったが、カットと型がよかったため、その服は真司の体にぴったりと合っていた。真司本人もかろうじて満足したようで、この服を決めると脱がずに、別のカウンターへ靴を選びに行った。

夏子は小さな心臓がドキドキと鼓動しながら後ろについていき、値札を見るたびにまぶたがピクピクした。

そして真司は夏子に対抗するためなのか、選んだのはなんと最も高価な靴だった:五万九千円!

彼一人だけで、すでに10万円近くも使っているじゃないか!

誰か助けて!

夏子は心の中で悲鳴を上げ、小さな手で自分の視界を遮り、これ以上自分を苦しめるように見ることができなかった。

そして真司は彼女が視界を遮った瞬間、口角に意味深な笑みを浮かべ、わざと尋ねた。「なぜついてくるの?服を選ばないの?」

夏子の心は血を流していた。このくらいのお金は気にしないが、問題は彼女がお金を持っていないことだった!

千羽の経済力を考えると、彼女もちょっと厳しいと思った!

「選ぶわよ……ハハハ、あなたがどんなスタイルが好きか見て、それからペアルックを選ぼうと思って」