第21章 もっと送金して!

美智は家に帰ると、シャワーを浴びてから、パソコンの前に座った。

彼女は思い切って自分の車を中古車サイトに出品した。

このポルシェは結婚前に祖母が買ってくれたもので、彼女の持参金だった。今は売って当面の危機を乗り切るしかない。

それから、彼女は「crisis」というサイトにログインした。

これは国際的なハッカーサイトで、ここでは多くの人が仕事を依頼したり受けたりして、副収入を得ていた。

美智はどうしてもお金が必要だった。小さな仕事には興味がなく、大きな仕事だけを見ていた。

ある仕事が彼女の注目を引いた。ある匿名の会社が最近新しいモバイルエコシステムを開発し、市場に出す準備をしていた。発売前に、ハッカーたちにセキュリティの脆弱性を見つけてもらいたいとのことで、一つ見つけるごとに100万米ドルの報奨金が出るという。

下の受注記録を見ると、すでに数千人のハッカーが仕事を受けていたが、今のところ報奨金を獲得した者は一人もいなかった。

美智は報奨金に心惹かれ、すぐに受注した。

その後、彼女は一晩中眠らず、そのシステムへの攻撃を試み続けた。

しかし、明らかにこの報奨金は簡単には手に入らなかった。夜が明けるころには、彼女は何の成果も得られていなかった。

美智はこれを予想していた。このサイトには世界中のトップクラスのハッカーが集まっており、彼らがこのシステムを破れなかったということは、それが何度も改良されてほぼ完璧な状態になっていることを証明していた。

彼女は落胆しなかった。攻略が難しいほど、彼女の闘志が燃え上がった。

出品した車については、すでに連絡が来始めていた。

美智はオーツミルクを一杯飲み、車を買いたいという人と連絡を取り、昼に車を見せる約束をしてから、バッグを持って出かけた。

会社に着くと、彼女は直樹のビデオの処理を再開した。昨日はウイルスを完全に除去できていなかった。

午前10時半、有賀社長がコーヒーを持って会社に来たとき、美智はすでにビデオを完全に修復していた。

「有賀社長、ビデオの修復作業が完了しました。確認されますか?」

有賀は非常に驚いた。「こんなに早く修復できたのか?少なくとも一週間はかかると思っていたよ!」

「私も必死でした、社長」