第112章 お婆様に何かあった

武田奥さんは急に嬉しくなり、大きくため息をついた。「やっぱり私の息子は凄いわ。これは大したことないって言ったでしょ。早くウイルスを駆除して、それから食事にしましょう!」

武田直樹は冷たく立ち上がった。「蚊みたいに簡単に駆除できると思ってるの?大したことない?既に試したけど、これは普通のウイルスじゃない。解読するには少なくとも三日かかる。そんな暇はない。捨てて新しいのを買えばいい」

「ダメよ、捨てられないわ!」

「いつからそんなに倹約家になったの?パソコン一台捨てるのも惜しいの?」

武田奥さんは少し躊躇してから、声を低くして言った。「私のパソコンだけじゃなくて、お父さんのパソコンも...」

直樹は眉をひそめた。「お父さんのパソコンを使ったの?何をしたの?なぜこんな強力なウイルスに感染したの?」

「別に、何もしてないわよ。ただライブ配信に入っただけで、こうなってしまったの。もう質問はやめて、早くウイルスを駆除して。お父さんに知られないようにして」

「武田香織のオークションのライブ配信だろう?」

武田奥さんは驚いた。「どうして知ってるの?」

直樹はイライラした様子で言った。「何で邪魔しに行ったの?既に美智を辞めさせたのに、もう一度やるつもり?今回こんな大きな痛手を受けて、満足した?」

「香織にも美智を辞めさせたいのよ!あんな意地悪な人が、外では良い人のふりをして、佳織を自殺に追い込んだのに、自分は何事もなく生きてる。あの顔つきが我慢できないのよ!」

「じゃあ自分で戦えばいい。負けたら自分で責任を取れ。俺に頼るな!」

直樹の表情は氷のように冷たかった。武田奥さんが突然彼を食事に誘った理由がやっと分かった。彼女が彼に頼みたいことがあったからだ。

しかし彼女は彼の好物さえ間違えていた。

彼は一分でも家にいたくなかった。そして立ち去ろうとした。

武田奥さんは急いで彼をしっかりと掴み、何を言っても彼を行かせなかった。「こっそりお父さんの書斎に行って、彼のパソコンのウイルスを駆除して、元に戻してちょうだい。そうしないと彼が知ったら、絶対に怒るわ。あなた、私がお父さんに叱られるのを見たいの?」