十二時半、賞味私家菜館。
個室で、橋本海東は武田奥さんと青木佳織の向かいに座り、山海の珍味を味わいながら、満足げな表情を浮かべていた。
この料理店はかなり有名で、食材はすべて最も新鮮で最高級のものばかり。ここで一食食べるには、一般人の一年分の給料がかかる。
破産して以来、彼はもうここに来ていなかった。
「橋本海東、美智は祖母から医術を少し学んだのではないですか?」
「ええ、少しだけ学びました」
武田奥さんは眉をひそめた。「少しだけ?」
「そうですよ、彼女は医学を学ぶことにかなり抵抗があって、人の病気を診ることも好きではないので、学んだのはごく普通です。どうしたんですか?あの馬鹿がまた何かあなたを怒らせたのですか?」
「彼女の学んだことが普通なら、どうして祖母を救えたのかしら?青木氏病院の専門家たちは全員助からないと言ったのに、今では彼女の祖母は普通の人とほとんど変わらないわ」
「武田奥さん、嘘はついていません。美智が学んだのは本当に普通のことです。美智の母親がどうやって死んだのか、ご存知ないでしょう?」
「どういう意味?それと彼女の母親に何の関係があるの?」
「もちろん関係があります」
海東はため息をつき、心を痛める様子を見せた。「美智が七歳の時、彼女の母親は患者の治療をしていたのですが、その患者が突然発狂して、ナイフで彼女の母親を何度も刺して殺したんです。美智はその場にいて、すべての過程を目撃しました」
武田奥さんと佳織は目を合わせ、お互いの目に驚きを見た。
「そんなことがあったの?」
「ええ、当時のニュースはまだ検索できるはずです。ご覧になってみてください。美智はこの事件で深刻な心の傷を負い、医学を学ぶことに抵抗を示すようになりました。その後成長しても外部の人の病気を診ることを拒み、彼女は血を見ると気絶するほどです。こんな状態で、どうやって祖母を救えるでしょうか?」
武田奥さんはこれで信じたが、それでもまだ疑問が残った。「では彼女の祖母はいったいどうやって良くなったの?」
「たぶん、老婆の命が強かったのでは?」
海東は美智に祖母を治す能力があるとは万に一つも信じていなかった。「あるいは、盲目の猫が死にかけたネズミに出くわしたようなもので、でたらめにいじくり回して、偶然治ってしまったのかもしれません」