武田家の子供さえいれば、将来的に武田家の財産を分けてもらえるようになる!
もしかしたら、その子が将来武田家の全財産を相続することになるかもしれない。そうなれば橋本家は完全に成り上がれる!
青木佳織が言っていた直樹は他の女性を見向きもしないという話なんて、彼は全く信じていなかった。
直樹は美人の美智のそばにいながら、佳織と不倫したのだ。どうして地味な佳織と一生を過ごすことができるだろうか?
不倫というものは、一度あれば二度目もある。彼は男だ。佳織よりもずっと男というものを理解している!
しかし、心の中では計算高く考えながらも、口から出る言葉は全く別のものだった。「そうですとも、直樹さんの青木さんへの愛情は太陽と月のように明らかです。他の女性が直樹さんの目に入るわけがありません」
「青木さんはとても優しく穏やかで、正真正銘のお嬢様です。私の姪はただの田舎者で、あなたと争う資格なんてありません。彼女は分をわきまえていないのです!」
「武田奥さんと青木さんはご安心ください。すぐに私の姪を叱りつけます。美智を厳しく叱って、二度と直樹さんに近づかないよう厳禁します。それでも言うことを聞かなければ、思い知らせてやります。そうすれば大人しくなるでしょう」
武田奥さんはようやく安心した笑顔を見せた。「橋本海東、あなたは状況をよく理解しているわね。美智があなたの才覚を少しでも学んでいれば、私もあそこまで嫌いにはならなかったでしょうに」
「はい、あの愚か者は確かに鬱陶しいです。恥ずかしい話ですが、美智の母が亡くなった後、彼女は祖母に育てられました。私は毎日会社の仕事に追われて、しつけを怠ってしまいました。すべて祖母が甘やかしすぎたせいで、歪んだ性格になってしまったのです」
海東は自分の責任を完全に逃れた。武田奥さんの機嫌が良くなったのを見て、さらに話を進めた。「最近、ある人と共同で事業を始めようと思っているのですが、資金が少し足りなくて...奥さん、少し助けていただけないでしょうか?」
武田奥さんはすぐに笑顔を引っ込めた。「また何のビジネスを始めるつもり?私から見れば、あなたはビジネスの才能がまるでないわ。そうでなければ、前の製薬会社も破産するまで経営することはなかったでしょうに」