二人は道中ずっと言い争っていた。
そして販売事務所へ行って家を買い、その後一緒に食事をして、それぞれ家に帰った。
翌日はチャームショーに一緒に行く約束をした。
夜7時。
彼女たちは時間通りに豪華絢爛な会場に入った。
曽根真一のチケットだったので、内側の比較的良い席だった。
二人が座るとすぐに、小林温子は落ち着かなくなった。「千早、藤原野郎を見たわ」
深谷千早も実は見ていた。
彼はそういう才能を持っている人で、どこに行っても人々の注目を集める。
とても簡単に見つけられる。
「彼の隣にいる女、あなたの白茶ビッチ義妹の深谷夕遅じゃない?!」
「白井香織じゃないの?」千早は相槌を打った。
次の瞬間に理解した。
白井香織は藤原家に認められておらず、藤原宴司はまだ公の場で堂々と彼女を連れ出す勇気がないのだ。
温子はじっと千早を見つめた。
まるで期待外れという表情で。
千早は眉をひそめた。「今夜の私は特別に綺麗?」
「深谷千早、あなたの夫が他の女を連れて出席してるのに、あなたが気にしてるのは誰を連れてきたかってこと?このタイミングで前に出て喧嘩して、正妻の姿勢を見せるべきでしょ」
千早は軽く微笑んだ。
笑うと本当に美しかった。
温子はこの女性に魅了されてしまった。
こんなに美しい人を、どんな男が抵抗できるだろうか。
藤原宴司というやつは本当に、眉毛の下に二つの玉があっても、まばたきはできても見ることができないのだ!
「まだ笑ってるの?」温子は本当に腹が立った。「自分の夫を使わないと、必ず他の女が代わりに使うわよ!」
千早は軽蔑するように、冷ややかに言った。「夕遅が厚かましく自ら虐められに行くなら、私がわざわざ出る幕はないでしょう」
温子は少し驚いた。
すぐに理解した。藤原宴司には自分の理想の女性がいて、夕遅のような行動は自ら恥をかくだけだ。
千早が出る必要はまったくない。
そう考えると、温子の気分は少し良くなった。
彼女の千早さんは決して逆らわずに従うタイプではない。
そうでなければ、あの吸血鬼のような深谷家から生き延びることはできなかっただろう。
ショーの開始まであと10分。
千早はトイレに行った。
そこで夕遅とばったり出くわした。