第13章 ショー展示会（2）オークション

小林温子は当然のように、深谷千早も自分と同じく買い物に夢中になるために来たのだと思っていた。

「違うわ」千早は首を振った。

しかし、それ以上の説明はなかった。

温子もそれ以上は追求せず、ほとんどの注意をこれらの高級ブランド品に向けていた。

そして、どれを買うべきか悩み続けていた。

彼女はあれも欲しいこれも欲しいと思っていた。

でも予算が足りず、使いすぎると父親に命を狙われるだろう。

つまり、お小遣いを断たれるということだ。

休憩時間になった。

深谷夕遅が突然千早の前に現れ、偽りの心配そうな声で尋ねた。「お姉ちゃん、何か買ったの？」

「何も買ってないわ」

「なんで買わないの？私はバッグを2つと靴を1足、それにショーのドレスを1着買ったわ」夕遅はさりげなく言った。「そんなに高くないわよ、全部で100万円もしないし、パパは今夜の予算として200万円まで使っていいって言ってくれたの」

傍らで温子は白目を剥きそうになった。

わざと金持ちアピールしてるのか？

わざと深谷挙之介が自分に優しいと言って千早を困らせようとしているのか？！

彼女はよく知っていた、千早がかつて深谷家でどんな生活を送っていたかを！

「初めて見たわ、こんなに堂々と寄生虫やってる人」温子は皮肉った。「お父さんのお金を使うことを誇りに思ってるの？」

「あなた！」夕遅は温子の言葉で顔を赤らめた。「あなただって父親のお金を使ってるじゃない、なんで私だけ責めるの？！」

「だから私はそれを自慢してないでしょ！深谷夕遅、恥というものは大事なものよ、どこにでも捨てないでね！」

「小林温子、もういい加減にして！」夕遅は声を低くし、歯ぎしりした。

周りには名の知れた人々がいたので、大声を出す勇気はなかった。

我慢に我慢を重ね、千早の方を向いて言った。「本当は言おうと思ってたの、私は100万円だけ使って、残りの100万円をお姉ちゃんにあげようって。でもあなたたちがパパのお金をそんなに見下すなら、もういいわ」

夕遅はそう言うと、千早が後悔する様子を見るのを待った。

彼女はずっと、千早が卑劣な手段で藤原宴司と結婚したと思っていた。宴司は彼女を愛していないどころか嫌っているに違いなく、外部に千早の立場を認めることもなく、お金を与えるはずもないと。