第15章 ショー（4）終幕

「4100万！」深谷千早が値を上げた。

彼女は驕らず焦らず。

冷静で理性的に見えた。

小林温子は隣で少し落ち着きがなくなっていた。

4100万。

千早は本当に痛くないの？

彼女はもう心が痛み始めていた。

「千早、冷静にして」温子は彼女の袖を引っ張った。

「大丈夫、私には底がある」千早は笑った。

「……」

「4500万！」赤井栄昌が値段を上げた。

「4600万！」千早は続けて値段を呼んだ。

栄昌は怒りで顔を真っ赤にした。

この女は狂ったのか？

わざわざこうして彼と値段を競り上げるなんて。

このまま続けたら、彼ももう耐えられない。

彼は歯を食いしばって、「5000万！」

千早は手を上げた。「5100万」

栄昌は汗が急に出てきた。

思わず振り返って千早を見た。

この女は誰なんだ？

彼の赤井栄昌が目をつけたものは必ず手に入れると誰もが知っている。

それなのに彼女は奪おうとしている。

彼は深呼吸して、一気に高値を叫んだ。「8000万！」

言葉が出た瞬間。

会場は騒然となった。

この勢いは明らかに相手を圧倒し、相手を困らせ、相手に諦めさせようとするものだった。

千早は軽く唇を噛んだ。

彼女が手を上げようとした瞬間。

温子が彼女を引き止めた。「姉妹、よく考えて。栄昌は明らかに目が血走ってる。これ以上彼と競り合えば、お互い傷つくだけよ。私が最大2000万援助できるけど、それ以上だと父に殺されるわ」

千早は数秒黙った。

8000万は確かに彼女の予算を超えていた。

彼女はステージ上のモデルを見て、彼女の首にかかっているピンクダイヤモンドを見つめた。

司会者は興奮して大声で叫んだ。「8000万、一度目！8000万、一度目！他に値段を付ける方はいませんか！」

会場は静かだった。

栄昌は得意げだった。

深谷夕遅は千早が値段を呼ぶ声を聞かなかったので、皮肉っぽく笑って言った。「自分の力量も知らないの？赤井栄昌のような成金と張り合うなんて、本当に恥ずかしい」

藤原宴司の目が冷たくなった。

夕遅はびくっとした。

彼女はあまりにも千早が恥をかくところを見たかったので、思わず心の中を口に出してしまった。

彼女は急いで説明した。「私はただあなたのためにお金を心配しているだけよ。姉さんはこんなに分別がないなんて」