39章 同窓会(1)木村冬真

「藤原宴司にはまだ白井香織がいることを忘れてない?」深谷千早が思い出させた。

小林温子は恋愛脳から一瞬で覚醒した。「くそっ」

しかしすぐに眉をひそめて言った。「でも宴司のあの態度は、本当にあなたのことを好きなように見えるけど」

「それってもっと悪質じゃない?」

「え?」温子は驚いた。

「彼が私のことを好きで、白井のことも好きなら、それって何なの?!」

「クソ野郎ってことね」温子は完全に目が覚めた。

千早は軽く笑った。

彼女は窓の外の蓮城の夜景を眺めながら……ふとしんみりとした気持ちになった。

いつか、彼女はここを去るのだろう。

この街を離れる。

そして唯一名残惜しい人は……

千早は温子を見つめた。

本当に、この人だけなのだ。

目的地に到着した。

広々とした個室には、すでに多くのクラスメイトが集まっていた。

彼女たちが入室するとすぐに。

とても大きな声が響いた。「クラスの花が来たぞ!」

誰が叫んだのかはわからない。

とにかくその瞬間、全員の視線が千早に集まった。

それだけ長い間会っていなかったのだ。

しかし幸い、同級生同士はすぐに打ち解けられる。

みんなが口々に千早に挨拶し、千早もすぐにその輪に溶け込んだ。

それに隣には社交の達人がいるのだから。

温子は時間をかけずに、クラスメイトたちと打ち解けていた。

そのとき。

「珍しいお客さんが来たぞ!」

個室に、また驚きの声が響いた。

千早は人々の視線の先を見て、木村冬真を見つけた。

本当に意外だった、彼が来るとは。

温子は直接彼の前に歩み寄った。「おや、木村さんが来たのね!」

「もちろん、小林お嬢様が直々にお誘いくださったのに、来ないわけにはいきませんよ」冬真は笑った。

彼はクラス委員長から電話をもらった時、実は丁重に断るつもりだった。

ドラマの撮影が始まるところで、まだ多くの事が決まっていなかった。

しかし断ると、温子から電話攻撃を受けることになった。

彼も温子の性格をよく知っている。

彼女を満足させないと、うるさくて死にそうになる。

「木村さんはいつ帰国したの?帰ってきたのに一言も言わないなんて、同級生としても歓迎会くらいしたかったのに」他のクラスメイトも近づいて、冬真に話しかけた。