第135章 深谷千早が藤原宴司をイケメンと褒める(二更)

「とても嬉しいです」明石和祺は肯定的な返事をした。

「ああ」藤原宴司は短く返した。

そして、彼の口角も思わず上がっていた。

明石和祺は、今の社長のこの自覚があれば、社長夫人を取り戻すのは自然な流れになるだろうと思った。

彼の社長のために砕け散りそうな心も、やっと落ち着けそうだ。

彼は夢にも思わなかった。これからどれほど多くの、人生の予測不能な出来事が待ち受けているとは!

……

翌日の午前中、木村冬真が藤原蘭ジュエリーのオンラインマーケティング部にやって来た。

条野紋乃が深谷千早に報告した。「深谷社長、木村冬真という方がお会いしたいとおっしゃっています」

「冬真が来たの?」千早は少し興奮した様子だった。

「外でお待ちです」

「中へ通して」千早は急いで言った。

「はい」紋乃は頷き、さらに好奇心から質問を一つ加えた。「社長の彼氏さんですか?」

千早は眉をひそめた。

「ただ、社長がとても嬉しそうだったので。以前は誰に対してもそんな表情を見せたことがなかったし、それに木村さんはとてもハンサムで、社長とお似合いだと思って」

「友人よ、変なこと言わないで」

「はい」

条野紋乃が去ると、すぐに木村冬真がドアを開けて入ってきた。

千早は立ち上がって迎えた。「冬真」

冬真は微笑んだ。

後ろには二人の人が続いていて、冬真はそれぞれ紹介した。

カメラマンと編集者だった。

簡単な挨拶を交わした後。

千早は部門の責任者たちを会議室に集めた。

「こちらが今回の藤原グループ60周年記念の撮影を担当する監督とカメラマン、そして編集者です」千早はそれぞれを紹介した。

そして自分のスタッフたちも紹介した。

時間を無駄にせず、本題に入ろうとした。

「深谷社長はさすがですね。友達に来てもらうと言ったら本当に友達に撮影指導させるなんて」八尾麗奈は皮肉っぽく言った。

ただ少し納得がいかないのだ。なぜ深谷千早は欲しいものを何でも手に入れられるのか。

彼女は会社で働いているのに、とても楽そうに見える。

何事も彼女の思い通りに進んでいくような、そんな余裕を感じさせる。

冬真ももちろん、この人の言外の意味を察した。

彼は何も言わなかった。