「確かに?」藤原宴司は深谷千早に尋ねた。
目の奥には既に欲望の炎が灯り始めていた。
千早は答えなかった。
彼女は怠そうに体を翻し、明らかに彼のためにスペースを空けていた。
宴司がどうして千早のこのような積極性に耐えられようか。
彼は自分の体からバスタオルを脱ぎ捨て、千早の布団の中に潜り込んだ。
千早はさらに積極的に宴司に近づいた。
心の中で彼の体が暖かく、少し熱いとさえ感じた。
小林温子は本当に太陽のような存在だな。
彼女は彼の体を抱きしめ、「あなたは私にとても優しいね」と言った。
宴司は口角を軽く上げ、「千早、お前もまだ少しは良心があるようだな……」
「温子、おやすみ」千早は安心して彼の肩に寄りかかった。
宴司の昂ぶった体は、一気に冷水を浴びせられたようだった。
つまり。
最初から最後まで、千早は彼を小林温子だと思っていたのだ。
彼の前で服を脱ぐこと。
彼の前で色気を振りまくこと。
彼に一緒に寝てもらうこと。
それはすべて、彼が「小林温子」だからなのか?!
深谷千早、お前は本当によくやってくれる!
宴司は歯ぎしりするほど腹が立ったが、その瞬間でも柔らかい千早を突き放す気にはなれなかった。
二人はこうして裸のまま同じ布団の中で横になり、何も起こらないまま一晩を過ごした。
翌日。
千早は電話の音で目を覚ました。
彼女は眉をひそめ、不機嫌そうに体を動かした。
少し身をよじり、また眠りに戻ろうとした。
そのとき、何かがおかしいと気づいた。
布団の中に何か余計なものがある……
彼女は急に目を見開き、下を見ると男性の手が彼女の首の下に横たわり、その手が自然に垂れて彼女の……を撫でていた。
千早は冷静さを保った。
実際、一目見ただけで、背後の男が誰なのかはほぼわかっていた。
ただ、昨夜宴司がどうやって彼女のベッドに潜り込んだのだろう?
彼女は昨夜、温子と一緒にお酒を飲んでいたことを覚えていた。
うっかり酔ってしまい、その後何が起こったのか全く覚えていない。
自分で歩いて帰ってきたのか?
それとも温子が送ってくれたのか?
しかし、どうやって帰ってきたにせよ、なぜ宴司が彼女のベッドにいるのか。
千早は振り返りもしなかった。
彼女は慎重に起き上がり、宴司がまだ眠っている間に離れようとした。