小林温子は声を上げた後、急いで自分の口を押さえた。
「ごめんなさいごめんなさい、私、間違えました間違えました」彼女は小林百合の顔を見る勇気もなかった。
やばい。
この人がなぜ突然目の前に現れたのか、びっくりして震えた。
「間違えてないわよ。私が小林百合よ。蓮城一の富豪、藤原家の奥様で、藤原宴司の母親、あなたの親友のお姑さんよ」百合は堂々と認め、さらに多くの肩書きを付け加えた。
「……」
それで何がしたいの?
温子は恐る恐る百合を見た。
彼女のセクシーな姿を見て。
まさか50歳近い人がこんなにスタイルがいいなんて。
以前はなぜ気づかなかったんだろう?
以前はなぜずっと彼女に対して固定観念を持っていたんだろう。堅苦しくて、話しにくくて、融通が利かなくて、考え方が古くて、頑固で強引な人だと思っていた。
今は……
今はいったいどういう状況なの?!
「母さん」
トイレのドアが突然開いた。
百合と温子は振り向いて、宴司が泥酔して意識のない深谷千早を抱えて出てくるのを見た。
「先に帰るよ」宴司は言った。「あまり遅くならないでね。父さんが探しに来るから」
「自分の奥さんの面倒を見ていればいいのよ。他人の奥さんのことなんか構わないで!」百合は宴司を完全に無視した。
宴司もそれ以上何も言わず、千早を抱えて立ち去った。
百合の今の装いに慣れているようだった。
つまり、宴司は小林さんがこういう人だと前から知っていたの?!
話の様子では、宴司の父親も知っているみたい?!
うわぁ。
藤原家の人たちはみんな隠れた才能の持ち主なの?!
「あの、おばさま、もう遅いので私も先に帰ります」温子は逃げ出すことにした。
彼女一人で小林さんと向き合うのは、なんだか気まずい。
「まだ何時だと思ってるの?若い子たちはこんな時間で遊びを終わらせるの?」百合の口調には軽蔑さえ含まれていた。
いや。
もう夜11時過ぎですよ。
これでもまだ早いの?!
「じゃあおばさまはお酒を飲みたいんですか?」
「隣に私の友達がたくさんいるのよ。あなたがお酒も強くて遊びも上手だって噂は前から聞いてたわ。おばさまと一緒にどう?」
「それは…」温子は心臓がドキドキした。
彼女たちとは一緒に遊べないんじゃないかな。
年齢が倍も違うし。