第132章 罠(一更)

木村冬真は春野鈴音に生理用ナプキンを買ってきた。

昼用や夜用など、大小さまざまなものを山ほど買ってきた。

「こんなにたくさん?」鈴音は少し驚いた。

「今後はこういうことを頼むな」冬真は冷たく言った。

「うん」鈴音は返事をした。

そして適当なナプキンを選び、トイレへ行った。

取り替えた後、鈴音は昨日の服も着替えた。

彼女は尋ねた。「今日は何か予定ある?撮影現場には行かないの?」

冬真はリビングでコーヒーを飲んでいた。

コーヒーを飲みながらスマホを見ていて、とてもくつろいでいるように見えた。

でも今、撮影現場はとても忙しいはずでは?

冬真は鈴音に返事をしなかった。

鈴音は歯を食いしばり、勇気を出して言った。「今日はちょっと出かけないといけないの」

冬真は顔を上げて鈴音を見つめ、皮肉っぽく言った。「金を手に入れたら即座に立ち去るつもりか?もう演技すらしないのか?」

「違うの、夜には戻ってくるから」鈴音は慌てて言った。

「夜?」冬真の表情が冷たくなった。「お前の状態で、夜に戻ってきても何の意味がある?」

鈴音も冬真が何を言っているのか分かっていた。

「じゃあ、終わったらこっちに来るけど...」鈴音は弱々しく尋ねた。

「鈴音、お前は自分がどういう立場なのか分かっているのか?」冬真の表情は冷ややかだった。

鈴音はいつも冬真を怒らせてしまうような気がした。

彼女は実際、冬真とどう付き合えばいいのか分からなかった。

彼が必要な時だけ彼のところに来ればいいのか、それとも引っ越して一緒に住むべきなのか。

でも彼女が思うに、冬真の彼女に対する嫌悪感からすると、一緒に住むことは望んでいないだろう。

鈴音は黙って待った。

冬真は鈴音が何も言わないのを見て、さらに不機嫌になった。

二人はしばらく膠着状態が続いた。

鈴音の電話が鳴った。

着信を見て、鈴音はすぐに電話に出た。

電話に出ながら、少し離れた場所へ歩いていった。

冬真の眉間のしわはさらに深くなった。

「もしもし、竜崎医師」鈴音は丁寧に言った。

「どこにいるんだ?弟さんがこんな状態なのに、一人で病院に置いていくなんて、少しは責任感を持ってくれないか?」竜崎医師は容赦なく言った。

「すみません、本当に用事があって...」