木村冬真は春野鈴音に生理用ナプキンを買ってきた。
昼用や夜用など、大小さまざまなものを山ほど買ってきた。
「こんなにたくさん?」鈴音は少し驚いた。
「今後はこういうことを頼むな」冬真は冷たく言った。
「うん」鈴音は返事をした。
そして適当なナプキンを選び、トイレへ行った。
取り替えた後、鈴音は昨日の服も着替えた。
彼女は尋ねた。「今日は何か予定ある?撮影現場には行かないの?」
冬真はリビングでコーヒーを飲んでいた。
コーヒーを飲みながらスマホを見ていて、とてもくつろいでいるように見えた。
でも今、撮影現場はとても忙しいはずでは?
冬真は鈴音に返事をしなかった。
鈴音は歯を食いしばり、勇気を出して言った。「今日はちょっと出かけないといけないの」
冬真は顔を上げて鈴音を見つめ、皮肉っぽく言った。「金を手に入れたら即座に立ち去るつもりか?もう演技すらしないのか?」
「違うの、夜には戻ってくるから」鈴音は慌てて言った。
「夜?」冬真の表情が冷たくなった。「お前の状態で、夜に戻ってきても何の意味がある?」
鈴音も冬真が何を言っているのか分かっていた。
「じゃあ、終わったらこっちに来るけど...」鈴音は弱々しく尋ねた。
「鈴音、お前は自分がどういう立場なのか分かっているのか?」冬真の表情は冷ややかだった。
鈴音はいつも冬真を怒らせてしまうような気がした。
彼女は実際、冬真とどう付き合えばいいのか分からなかった。
彼が必要な時だけ彼のところに来ればいいのか、それとも引っ越して一緒に住むべきなのか。
でも彼女が思うに、冬真の彼女に対する嫌悪感からすると、一緒に住むことは望んでいないだろう。
鈴音は黙って待った。
冬真は鈴音が何も言わないのを見て、さらに不機嫌になった。
二人はしばらく膠着状態が続いた。
鈴音の電話が鳴った。
着信を見て、鈴音はすぐに電話に出た。
電話に出ながら、少し離れた場所へ歩いていった。
冬真の眉間のしわはさらに深くなった。
「もしもし、竜崎医師」鈴音は丁寧に言った。
「どこにいるんだ?弟さんがこんな状態なのに、一人で病院に置いていくなんて、少しは責任感を持ってくれないか?」竜崎医師は容赦なく言った。
「すみません、本当に用事があって...」