第63章 腰の怪我が治ったら誘惑しに来て_2

深谷千早はあまり興味を示さなかった。彼女は名簿を手に取り、何気なく目を通した。

アンムセイの名前を見た瞬間、彼女の表情に明らかな変化が現れた。

この期間、藤原蘭ジュエリーの夜会の話題性は高かったが、彼女は本当に興味がなく、自分も参加するつもりはなかった。たとえ藤原蘭ジュエリーから公式の招待状を受け取っていたとしても。

もちろん、レイトリーとしての身分で受け取ったものだったが、彼女はきっぱりと断り、相手も強くは勧めなかった。

だから彼女はこの夜会についてまったく関心を持っておらず、ネットで公開されたこの名簿の中に、チャームのデザイナーであるアンムセイの名前があることにも気づいていなかった。

ここ数年、アンムセイは健康上の理由から、ほとんど公の場に姿を現さず、デザインも年に一つ出すのも難しいほどだった。なぜ突然、藤原蘭ジュエリーの夜会への参加を承諾したのだろう。

「深谷社長?」周子が小声で彼女を呼んだ。

彼女が名簿を見て長い間ぼんやりしていたからだ。

千早は我に返り、言った。「参加者リストと明日メディアが公開する生写真に基づいて、関連する文案を作成し、最終的なコメント付きの短い動画をアップロードするために私に確認させてください。」

「はい。」

千早はすぐにスタジオを後にした。

車を運転しながら、彼女は考え込んでいた。

実は彼女が海外にいた頃からアンムセイに会いたいと思っていたが、その時彼はすでに第一線から退き、公の場に姿を現さなくなっていた。彼女もまだ彼と個人的に会う資格を得るほどの地位ではなかった。その後、帰国してからは彼との距離はさらに遠くなった。

彼が突然蓮城に来て、しかも宴司の夜会に参加するとは思ってもみなかった。

藤原宴司の面子は本当にそれほど大きいのか?!

もちろん、それは彼女の関心事ではない。今彼女が知りたいのは、どうやって夜会の会場に行けるかということだ!

彼女は宴司の夜会への招待をきっぱりと断ったのだ。今さら彼に招待状を求めるのは、自分の顔に泥を塗るようなものではないか?

それに、彼女が頼んでも宴司が承諾するとは限らない。宴司は白井香織の気持ちを考慮するだろう。

そして以前、明石和祺が彼女に電子招待状を渡した時、彼女は断ったので正式な紙の招待状も受け取っていない。彼女は入れないのだ。