「芸能界にはこういう人が確かに多いわね」深谷夕遅は自分との関係を直接否定し、とても好奇心旺盛な表情で尋ねた。「芸能界の人間関係はかなり乱れていると聞いたわ。男女関係が特にオープンで、浮気や不倫が好きな人が多いって本当?」
こんな直接的な言葉に、白井香織の顔は真っ青になった。
彼女はおそらく、夕遅がこれほど率直に言うとは思っていなかったのだろう。
香織は目を向けて藤原宴司を一瞥した。
宴司はすでに彼女たちから少し距離を置き、隣の人と楽しそうに談笑していた。
彼女たちに全く注意を払っていなかった。
「芸能界だけじゃないわ。そういう考えの人はどこにでもいるわよ」香織は軽く唇を噛み、すぐに平静を取り戻した。
彼女は夕遅に微笑みかけ、「そうでしょう、深谷さん。中には道徳的底辺まで落ちて、肉親さえも顧みない人もいるのよ」
「あなた!」夕遅はやはり心の器が小さかった。
数言葉で香織に怒りを爆発させてしまった。
傍で見ていた小林温子も少し呆れた。
明らかに夕遅は深谷千早の妹という立場で、理がある側のはずなのに、心虚さから逆に香織に手玉に取られている。
香織という女性は本当に侮れない。
宴司が彼女にメロメロなのも無理はない。
「すみません深谷さん、私は宴司についてお客様の対応をしなければ」香織は宴司を見て、彼が片側に移動しようとしているのが分かると、自然についていこうとした。
夕遅は怒りで目が赤くなった。
この女、どうして不倫相手でありながらこんなにも堂々としていられるのか?!
どうして自分はこんなに堂々としていられないのか。
同じ不純な心を持ちながら、なぜ香織はこんなに正々堂々と、しかも得意げにしていられるのか!
「そうそう」香織は去り際に何か思い出したように、夕遅に笑いかけた。「恋愛において、愛されない方こそが本当の『第三者』よ」
この言葉の含みは、彼女と宴司は愛し合っているから、たとえ結婚していなくても彼女は第三者ではなく、他の人、つまり千早こそが第三者だということだ。
夕遅はもちろん、温子までもがこの言葉に激怒した。
彼女は前に出て香織の顔を二発ぐらい平手打ちしたいほどだった。
この女の厚顔無恥さは、まさに目を覆いたくなるほどだ。
夕遅はさらに怒って足を踏み鳴らした。