第119章 藤原宴司は心変わりしたの?(一更)_2

こんなに一途で情熱的な男性が、どうして心変わりするだろうか?!

徳永颯は心を痛めながら、彼らが去っていく姿を見つめていた。

本当に自分の能力が足りないから、深谷千早は自分を拒み、藤原宴司を選んだのだろうか?

颯は目を伏せた。

瞳の奥の赤みと広がる悲しみを隠すように。

宴司と比べれば、確かに自分は頼りにならない。

幼い頃から。

千早がいじめられるのをただ見ているしかなく、彼女を水火の苦しみから救い出す力が本当になかった……

しかし宴司は、彼女に絶対的な安心感を与えることができる。

颯は黙って自分の席に戻った。

彼は自分に言い聞かせていた。千早が幸せならば、たとえ自分の心が引き裂かれるような痛みを感じても、それを受け入れ、祝福しよう。

食卓では。

「深谷卓也!」突然、深谷おじいさんの抑えた怒声が響いた。

声は大きくなかったが、おじいさんを知る者は皆、彼が今、怒り心頭であることを理解していた。

卓也はまだ手が痛みで震えていた。

おじいさんの声を聞いても、もう開き直って聞こえないふりをした。

「お前は今日も姉の好機を台無しにしたことを分かっているのか!」おじいさんは歯ぎしりした。

卓也はますます無関心になった。

千早はいずれ嫁ぐのだから、彼女のことなど気にもしていなかった。

「前回もお前の衝動的な行動で、自分が刑務所行きになるところだった。姉までお前に巻き込まれた。今回もまだ教訓を得られないのか!本当に千早にお前の惨めな写真を世間に公開させたいのか?!」

「彼女にはそんな勇気はない!」卓也は確信していた。

千早がどんなに強がっても、そんな気性はないと思っていた。

「勇気がない?!お前は自分が何者だと思っている、彼女に勇気がないだと?!以前は勇気がなかったかもしれないが、今は藤原宴司が後ろ盾になっている。まだ彼女に勇気がないと?!」おじいさんは血を吐きそうなほど怒っていた。

彼は一生賢く生きてきたのに。

育てた息子や孫は、本当にろくでもない者ばかりだった。

「宴司が…どうして急に千早に優しくなったんだ?」卓也は重要なポイントを全く理解せず、むしろ不満げだった。

「お前に何の関係がある!夫婦の問題だ!お前にどんな資格があって批評できる!」おじいさんは怒りで胸が痛くなった。