今田由紀は佐藤陸の言葉にいつも抵抗力がなく、陸に甘い言葉で誘われるとふらふらになって、彼の部屋についていってしまった。
部屋のドアが閉まると、陸はベッドに座り、由紀の手を取って、服のボタンを探り始めた。
由紀がようやく状況に気づいたときには、すでに進退窮まっていた。
「陸兄さん、あの...先に寝ませんか?私まだお風呂入ってないし...」
陸は手を止めたが、いつものように彼女を放すことはなかった。この小娘がまた千万の言い訳を作って彼の元から逃げ出すのを恐れていたのだ。
彼は心の中で分かっていた。この小娘はまた彼の触れ合いを拒もうとしている。それは許せない!
あの忌々しい榎本剛という男のせいで、自分の「食事」の権利が損なわれるなんてことはあってはならない!
陸は手を放すどころか、逆に由紀の細い腰に腕を回し、彼女を抱きしめた。
感傷的な表情で、頭を由紀の胸に押し付け、頭で由紀の体をこすり始めた。
「今夜はお風呂に入らなくてもいい...僕は怪我してるんだ、可愛い子に傍にいてほしい...」
陸は哀れっぽく言った。
由紀は完全にその雰囲気に溺れ、頭が熱くなって、何が起きているのか理解する前に。
陸はすでに彼女の服を脱がせ、ベッドに連れ込んでいた!
「陸兄さん...」
ベッドが沈み、布団が高く盛り上がり、揺れ動いた...
翌日...
由紀はとても深く眠っていた。陸は目を覚まし、疲れ果てた小娘を腕の中に見て、セクシーで魅惑的な唇の端をわずかに上げ、彼女の額にキスを落とした。
「可愛い子、毎朝目を覚ましてすぐにお前を見られるなんて、この感覚は本当に素晴らしい。だから...兄さんは絶対に誰にもお前と僕の間に入ることを許さない。あの榎本剛もダメだ、わかるか?兄さんが冷酷だと思わないでくれ、兄さんはお前を愛しているんだから...」
陸は昨夜たっぷり満足し、すっきりとした気分でベッドから降りた。
由紀はベッドに横たわったまま、全身が痛み、体が何かに押しつぶされたような感覚だった。
昨夜あまりにも激しく泣き叫んだせいで、喉はかすれ、目は赤く腫れていた。何より今は陸に会いたくなかった。陸は彼女の恥ずかしく困った姿を見ることができないとわかっていても、それでも会いたくなかった。