第040章 絡まれた

「榎本剛、あなたは私の目も今田由紀の夫と同じく盲目だと思っているの？！さっきはっきり見たわよ。あの時、あなたに鏡を渡して、自分の狂ったような顔つきをよく見せてあげるべきだったわ！」

泉里香は本当に怒っていた。今田由紀に一歩譲ったことだけでなく、榎本剛のさっきの態度にも我慢できなかったのだ。

彼女の婚約者であるにもかかわらず、今田由紀に対してあんな心配そうな顔を見せるなんて、本当に許せなかった。

剛は里香が怒っていることを知り、なだめるように言った。「怒らないで、怒らないで。僕は彼女をずっと妹のように思ってきただけだよ。彼女が結婚したから、ただ心配しているだけで、君が考えているような意味じゃないんだ。もし君が嫌なら、これからは彼女に会わないようにするよ！」

里香は顔を上げて彼をちらりと見て、言った。「本当に？」

「本当だよ、本当に。君は僕の大切な人だから、君が嫌がることは絶対にしないよ！約束する！」

里香は彼にあやされて機嫌が良くなり、さっきのことを忘れて持田教授のドアの外で待った。「検査が終わったら、持田教授は私たちの検査をしてくれるわよね。あなたは持田教授と約束したんでしょう？」

「ああ、予約はしてある。安心して」

「あの佐藤さんって一体何者なの？持田教授が自ら出迎えるなんて、本当に不思議ね！」

……

持田教授はすでに由紀に一連の身体検査を行い、笑顔で二人を診察室から見送った。

由紀は佐藤陸を車椅子で押して診察室を出ると、すぐに剛と里香の姿が目に入った。二人はもう帰ったと思っていたが、まだドアの前でじっと待っていて、とても急いでいるようだった。

持田教授が出てくるのを見て、里香はすぐに近づき、甘えた声で尋ねた。「持田教授、こんにちは。私は泉里香です。こちらは私の婚約者の榎本剛です。昨日予約をしましたので、今日は身体検査に来ました！」

持田教授は佐藤少爺を見送っている最中に、突然この甘ったるい声に邪魔されて、すぐに眉をひそめ不快そうに里香の方を向いた。

目の前の里香は厚化粧で、高慢な態度をとっており、まるで予約したと言えば必ず検査をしなければならないかのようだった。

持田教授はこの人物は他人に強制されることが最も耐えられず、このように見ると、里香に好感を持てなかった。

彼女は今佐藤少爺を見送っているのに、この女は誰だ？