第036章 障害者を夫にする

榎本剛は彼女のこの数言で怒り心頭となり、問いただした。「由紀、あなたは本当に彼のことを理解しているの？！あなたは……」

「あれは私の夫よ、榎本剛。あなたの今の反応は少し過剰で、とても不自然だと思わない？泉お嬢様、あなたはどう思います？！」

今田由紀がこのように皮肉を言うと、泉里香はますます剛が自分の顔に泥を塗ったと感じた。

彼女は剛を強く睨みつけたが、由紀の前で剛と口論するわけにはいかなかった。由紀はわざと二人の関係を挑発し、彼らの醜態を見たいのだと分かっていた。

里香はそれを十分承知していたので、どうして由紀の思い通りにさせるだろうか？

彼女は話題を変え、笑顔で由紀に言った。「今田お嬢様、どうか浩樹を責めないでください。浩樹はただ責任感が強すぎるだけなんです。彼は良い男性ですよ。あなたは結局2年間も彼と付き合っていたのですから、最終的に彼があなたを選ばなかったとしても、あなたが信頼できる人を見つけて幸せに暮らせることを願っているんです。うちの浩樹は、何と言っても責任感が強すぎて、心が優しすぎるんですよ！」

由紀は口角を引きつらせ、ひどく痙攣した。人は卑しくなれば無敵だ。由紀は今日ついに里香の身に、そのことを見出した！

「もういいわ、浩樹。今田お嬢様が自分の幸せを見つけたのなら、彼女が幸せだと思えばそれでいいじゃない。私たち友人としては彼女の家庭のことに口出しするべきではないわ。今田お嬢様、もし将来あなたの夫があなたをいじめたり、辛い思いをさせたりしたら、安心して。私と浩樹があなたを助けますから！」

里香は笑顔で剛の腕を抱き、甘く微笑みながら言った。「早く持田教授を探しましょう。ごめんなさいね、今田お嬢様。私たちはもうすぐ結婚するので、婚前検診を受けに来たんです。持田教授は疋田市で最も権威のある専門家なんですよ。私たち、早く赤ちゃんが欲しいんです！そういえば、前に浩樹から聞いたんですけど、あなたは障害のある人からプロポーズされたって。あなたの夫って、もしかしてその障害者じゃないの？障害者の将来の生殖問題は、ああ……」

由紀は彼女に全身が冷たくなるほど怒り、眉をひそめた。本当にこの卑しい女の顔に平手打ちをくらわせたかった。

自分が侮辱されるのは構わないが、陸兄さんを侮辱することは許せない！