第48章 裏切り

村田城は傍らで、ひやひやしながら見ていた。

この女は本当に豪胆だ。今までの美女に対する認識を完全にひっくり返された。

口角をピクピクさせながら、額の冷や汗を拭った。

以前は理解できなかった言葉が、今やっとその真意を悟った。女と小人は養い難し……

決して女を怒らせてはいけない。特にこのような毒蛇のように冷酷な女は。

……

すべてを片付けると、初陽は上機嫌で個室を出た。ドアの敷居を踏み出した瞬間、大きな手が彼女の腕を掴み、高い影が彼女に覆いかぶさり、冷たい気配が押し寄せてきた。

眉をひそめながら、彼女は顔を上げた。

「星野寒……」

二言目を言う前に、彼は一言も発せず彼女の腕を引っ張り、別の無人の個室へと連れ込んだ。

「カチッ」という音と共に、個室のドアがしっかりと閉められ、彼女は男の両腕の間に閉じ込められた。彼は彼女の上から覆いかぶさり、彼女を壁に押し付けた。

一瞬のうちに、彼女は彼の作る空間に囲まれていた。

酒の匂いと冷たい気配が周囲に漂っていた。

「何をするつもり?」

「それは私が聞きたいことだ。お前は何をするつもりだ?」彼の長い指が彼女の尖った顎を掴み、軽く持ち上げた。漆黒の瞳に彼女の姿が映っていた。

「何を言っているのか分からないわ」顔をそむけ、彼を見ようともしない。

「元年のキャスティングがもうすぐだ。我慢できずに動き出したのか?ふむ、当ててみようか。今回役を手に入れるために、また何かを捨てるつもりなのか?前回は『華麗なる歳月』の女三番手のために、お前は私に頼み込んだ。女三番手を手に入れ、さらにはあのマスコミを呼んで私と絡めて話題作りをした。葉田初陽、お前はどんどん手口が巧妙になってきたな……今回は、元年のために、また何か企んでいるのか?」女の顎を握り、彼女に向き直らせながら、彼は嘲笑を含んだ声で尋ねた。

初陽は彼の声に含まれる皮肉を聞き逃さなかった。彼女はすでに何にも動じなくなっていた。この程度の嘲りなど何だというのだろう。

「星野社長はとても賢いじゃない?もう少し当ててみたら……」

寒は目を伏せ、一言も発せず、静かに彼女を見つめていた。

「黒川源と一緒になって、女二番手を手に入れるとか?」

心の奥底で痛みを感じた。まるで鋭いナイフが彼女を軽く突いているかのようだった。