第63章 女主役はとても美しい

この言葉が出るや否や、会場は騒然となった。

記者たちは一様に目を丸くした。先日の融資パーティーで黒川社長が自ら東雲敏を連れて参加したという話ではなかったか?

では、この女性主役が東雲敏でないとすれば、一体誰なのか?

たちまち、メディアグループのチャットは沸騰したように活気づき、質問の声が次々と上がった。

「それでは黒川社長にお伺いします。東雲敏さんでないとすれば、この重要な役を担当するのは一体誰なのでしょうか?」

「そうですね、これほど大きな作品ですから、きっと重量級の人物が起用されるのでしょうね」

「最近人気の若手女優、春木錦さんではないですか?彼女は『華麗なる歳月』に出演したばかりで、今度は『元年』にも出演するなら、来年の女優賞は間違いなく彼女のものでしょうね」

推測や議論が飛び交い、誰もが非常に好奇心を抱いていた。

黒川源の瞳に光が走り、唇の端にゆっくりと笑みを浮かべ、あえて謎を残した。

「女性主役の人選については、最後のお楽しみとして取っておきましょう」

傍らに立っていた松本監督はすかさず話を引き継ぎ、巧みに話題を変えた。

「我々の男性主役、神代旻役を演じるのは、著名な映画俳優の鈴木翊さんです。鈴木翊さんを熱烈に歓迎しましょう...」

話題は見事に転換された。鈴木翊という名前と、彼のエンターテイメント業界での功績と地位は国際的なスーパースターの存在感を放っていたからだ。

デビュー以来、翊は常に大スクリーンに登場し、これまで一度もテレビドラマに出演したことがなかった。『元年』は彼が初めて受けたテレビドラマだった。

彼が主演した映画は作品ごとに名作となり、一本一本が彼に映画俳優賞の栄冠をもたらしていた。

三十代半ばではあるが、彼の名前は涼城で誰もが知るところとなり、真の意味でのトップスターだった。

このような重量級のスターが男性主役を演じるなら、女性主役も同等の大物スターなのだろうか。

「見て!鈴木翊が来たわ、すごくかっこいい!」

ある女性記者が目を輝かせ、ステージに上がってくる憧れの男性を見て思わず叫んだ。

場は一気に制御不能となり、外周のファンも会場の記者たちも、こぞって翊の周りに集まった。

「翊さん、翊さん...」

「ダーリン、愛してるわ...」

「アイドル、こっちを見て...」