『華麗なる歳月』のロケ地は、涼城の徳陽高校に選ばれた。
冬休み期間中だったため、映画の撮影には非常に好都合だった。
徳陽高校に再び戻ってきた初陽の心は、とりわけ重かった。
学校内の教室、食堂、図書館、そして寮まで、どこもかしこも彼女の青春時代の思い出で満ちていた。
その思い出の中には、どこにも星野寒の影があった。
徳陽高校の門の前に立ち、彼女はしばらくの間、校門を踏み入れる勇気が出なかった。
彼女にとって、寒は触れてはならない禁忌であり、彼女の人生に刻まれた消せない痕跡でもあった。
ここに戻ると、彼女の心はうずくのだった。
頭の中では、高校一年生の頃の自分が、寒の後をバカみたいについて歩き、彼と共に校内のあらゆる場所を巡った記憶が次々と浮かんでは消えた。
この片思いは、彼女を苦しめ、恨みさえ抱かせた。かつての幸せや甘い思い出は、すでに煙のように消え去っていた。
……
学校に入ると、初陽は雪村監督や他の俳優たちに挨拶をした。
初陽は白い麻のロングドレスを着て、艶やかな黒髪を耳にかけ、肩に流していた。
透き通るような白い肌、繊細で美しい顔立ち、化粧っ気のない素顔。
皆が彼女のその姿を見て一瞬固まった。この姿は沢田蛍のキャラクター設定にぴったりだった。特にあの黒白がはっきりとした大きな瞳は、まるで湖水のようにきらめき、人を深く澄んだ碧波に引き込み、心を揺さぶるものがあった。
雪村監督は目を輝かせながら初陽を見つめ、彼女の服装を上から下まで観察し、興奮した様子で言った。「初陽さん、その姿は沢田蛍というキャラクターにぴったりですね。華やかで人の目を引きつけながらも、どこか儚げで可憐さがある。無害な子猫のようでいて、男性の心を簡単に捕らえてしまう…こんな蛍なら、沢田湊人が夢中になるのも当然、おそらくどんな男性でも魂を奪われてしまうでしょう…」
初陽は思わず微笑んだ。特に意識して着飾ったわけではなく、ただキャラクターに合わせるために、優奈に白い花のようなイメージの白いドレスを用意してもらっただけだった。
しかし、その効果は抜群で、優奈の目の確かさが証明された。
「雪村監督のお褒めの言葉、とても恐縮です…」初陽は急いで謙虚に返した。