第18章 誰でも噛みつく狂犬

可美たちは敵に回すことはできないが、この悪評高く、一文の価値もない新人の葉田初陽については、遠慮なく議論できるのだ。

「昨日、初陽の名前がトレンドランキングのトップ10に丸一日載っていたわ。コメントの10個中9個は彼女を叩くもので、残りの1つは、単に直男が彼女の美しさを褒めるだけ。でも、どんなに美しくても、芸能界に入って有名になりたいなら、必ずキャスティングカウチを経験しているはずだって嘆いているわ」

「そうよね、自分から嫌われ者になりたいならまだしも、私の推し神の星野まで巻き込んで話題作りするなんて。昨日ニュースを見て、一晩中泣いたわ。本当に狐のような女ね、私の推しまで手を出すなんて……」

「あなたたち、彼女の過去2年間の海外での情報を見なかった?全部暴露されているわよ。あの一つ一つのスキャンダル、彼女を狐女と呼ぶのはまだ優しい方よ」

「こんな品行の悪い芸能人を、会社は何を考えて海外に2年間の研修に行かせたのかしら?帰国したら10年契約まで結んだなんて」

「でもね、悪いことをすれば報いがあるわ。さっき春木錦が言ったでしょ?葉田初陽はもう会社から干されたって……これからは有名になるのも難しいわね……」

初陽は気にせず、数人のアシスタントが彼女を嘲笑う言葉を心に留めることもなかった。

彼女は冷たい目で、それらのアシスタントたちを一瞥した。

「私は常に自分の力だけで生きてきた。芸能界というこの染物の大桶で、完全に清廉潔白な有名人など一人もいない。清く正しくありたいなら、芸能界という濁った水に足を踏み入れるべきではない。成功したいなら、代償を払わなければならない。あなたたちの噂話など恐れないが、自分の仕事をきちんとして、余計な噂話を広めないことだ。誰かを怒らせて、どうやって死んだかも分からなくなるぞ」

この世界の人々は、多くが落ちぶれた者を踏みつける。世の中の冷たさ、人情の薄さ、彼女はとうに見抜いていた。

数人のアシスタントたちは一瞬黙り込み、互いに視線を交わした。初陽のオーラがあまりにも強く、彼女の言葉に反論のしようがなかった。

初陽は彼らを見るのをやめ、春木錦を一瞥して、再び口元を少し上げて微笑んだ。